自宅の土地は140坪、建物は7LDK
恵子さん(65歳女性)は、父親から自宅の土地と建物を相続されています。自宅の土地は140坪あり、その3分の2が建物、奥の3分の1は畑です。
この自宅はもともと、曾祖父の代、戦前に買ったものだそうです。現在の建物は、父親が昭和42年に建て直したもので、築60年近くになります。当時は、祖父母、父母、恵子さん家族(夫婦と子ども2人)皆で住んでおり、いちばん多いときで8人が生活していたといいます。その分部屋も多く7LDKあります。
現在では、祖父母、両親ともに亡くなり、また、夫も50代で亡くなってしまったため、恵子さんと2人の娘との3人暮らしとなっています。
遺言書があったおかげで相続では揉めなかった
昨年父親が亡くなって、自宅は恵子さんが相続されました。
相続人は恵子さんと弟の2人。これまで同居してきた自宅と土地は恵子さんに、弟には、弟が現在家を建てている土地が相続される、という形で生前から合意があり、さらに父親が公正証書遺言も作成してくれたおかげで、相続の手続きは何らもめることなく、弟とも今までどおり円満だといいます。
財産は1億8,000万円
これまで家のことは、何事も父の方針で進んできました。しかしこれからは、恵子さんが自分で判断していかなければならない状況になります。これからのことをアドバイスしてほしいと、親子3人で相談に来られました。
恵子さんの財産は、父親から相続した自宅とご自身の預金です。
140坪の自宅の評価額は1億3000万円を超えており、恵子さんの預金5,000万円と合わせると、財産は1億8000万円想定。2人の子どもの基礎控除は4,200万円ですから、相続税は2,935万円となります。子どもが自宅に同居していれば、小規模宅地等の特例が活かせて相続税は、その3分の1の約1,000万円となります。
課題は2人の子どもの将来
恵子さんの父親は、保険の代理店をしており、母親も恵子さんもその仕事を手伝っていました。しかし父が引退してからは、母も恵子さんも辞めてしまったため、代理店は廃業。現在恵子さんは無職です。
2人の娘は30代。長女は介護系の専門学校を出てから就職しましたが、パワハラが原因で退職。いまだに体調が戻らず、社会復帰が難しいと言います。次女は中学生のころイジメに遭い不登校に。高校はなんとか卒業しましたが、ほとんど自宅にこもる生活をしており、2人とも仕事をして収入を得ることができていない状況です。
自分が亡くなった後、2人の子どもたちが生活していけるのだろうか。それが、恵子さんの悩みごとのようです。そこで、相続プランの委託を頂き、これからどうすればいいか、提案することにしました。