英国では長らく政権を担ってきた保守党から労働党に政権が交代しました。これによってメディアでは英国内では超富裕層に対して大増税を実施するのではないかと報じています。状況によっては、超富裕層による出国ラッシュが訪れることも否定できません。本連載では、富裕層の国際相続の諸課題について解説します。
政権交代で超富裕層の出国ラッシュに?
英国では2024年7月に政権交代があり、労働党のキア・スターマー氏が首相に就任しました。保守党による政権が長らく続きましたが、労働党政権に移行したのです。
英国BBCの報道によると、レイチェル・リーヴス財務相主導のもと、2024年秋に税制改革が行われ、所得税等の増税を行った場合、超富裕層が英国から出国するのではないかと懸念されています。
フランスも超富裕層が隣国に出国
フランスのフランソワ・オランド前大統領は、2013年からは2年間の時限措置で年収100万ユーロを超える個人に対して所得税率を40%から75%に引き上げる案を示しました。この税は2015年に廃止されましたが、オランド前大統領はこの税の導入を大統領選挙の公約に掲げ、サルコジ大統領を破って当選しました。
この税制改正の結果、フランスの富裕層の100人以上が、フランスの隣国であるベルギーに移住しました。
これと同じような現象が英国で起ころうとしているというのが上記BBCの報道です。
英国は法人税率を段階的に引き下げ、2021年には19%としましたが、2023年から25%に引き上げています。その背景には、新型コロナウイルスにより財政支出の増加等があったものと思われます。
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国際課税研究所首席研究員 博士(会計学)。
中央大学大学院商学研究科修士課程修了。昭和50年東京国税局に勤務、平成2年退職。産能短期大学助教授、日本大学商学部助教授、教授を経て平成14年中央大学商学部教授(平成30年退職)。税務大学校講師、専修大学商学研究科非常勤講師、慶應義塾大学法学研究科非常勤講師、新潟産業大学経済学部非常勤講師、武蔵大学経済学部非常勤講師を歴任。
著書に『国際課税と租税条約』(ぎょうせい、第1回租税資料館賞受賞)、『租税条約の論点』(中央経済社、第26回日本公認会計士協会学術賞)、『移転価格税制の理論』(中央経済社) 、『詳解日米租税条約』(中央経済社)など。
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