米国では相続人が遺産分割に関与しない
相続税制において、米国のように遺産課税方式を採用している国と、ドイツ、フランスのように取得課税方式を採用している国があります。日本は中間的な法定相続分課税方式です。
それぞれの方式を採用した背景には、家族制度、親族法などの変遷があり、一概に、どれがベストという判定は、難しいのが現状です。日本税理士会連合会では、相続課税の方式を取得課税方式に改正すべきという意見も出ています。
米国の場合、遺産課税方式が採用されており、被相続人の遺産に課税が行われます。
遺産税の申告書は、遺言のある場合には遺言執行人(executor)、遺言のない場合には管財人(administrator)あるいは遺産の所有者が作成して提出。米国の遺産税の処理は司法(検認裁判所)が遺産の処理に関わり、遺言執行人等は裁判所により選任されることになります。このような手続きをプロベイト(検認)と呼んでいます。
仮に日本であれば相続が開始されると、遺言がないと、相続人が遺産分割協議書を作成することになります。ですが、米国の場合は遺産の整理の段階で相続人が関与することはなく、管財人が遺産の整理を行うのです。
司法が遺産処理に関わる「プロベイト」の問題点とは
米国で採用されているプロベイトにはいくつかの問題点があります。
第1は、終了まで通常で数年間を要するということで時間がかかります。たとえば、ロック歌手のプリンスの遺産相続の処理は6年も要しました。
第2は、弁護士などが裁判所から選任されて遺言執行人として遺産の整理を行いますが、その費用がばかになりません。これをきらって、プロベイトを回避する人がいます。
第3は、プロベイトは外部の者による遺産内容の閲覧が可能であることから、遺産の中味を知られることになります。遺産を信託することでこの公開を回避することもできます。
第4は、プロベイトの執行中に生じた故人所得の処理が必要となることです。被相続人の死後に所得が発生すると、基本的にはこの所得は遺産財団(エステート)に帰属し、管財人が代行することになります。そうなると相続人が蚊帳の外に置かれます。
最終税額決定後、課税当局は事後調査なし
遺産税の申告と納付は、管財人が遺産から支払うことになりますが、管財人が納税義務を負うものではありません。
管財人は内国歳入庁長官に対して、税額決定に関する文書を提出し、その文書の提出後9ヵ月を限度として、内国歳入庁長官は税額について管財人に通知(estate tax closing letter)することになります。
また、州に相続税等がある場合には、連邦と同様の手続きが州税務当局との間に必要となります。結果として、管財人はこの文書を受取ることにより遺産税追徴の納税義務から解放され、最終税額である旨の文書を受け取ることになります。このことは、課税当局が事後調査をしないことを意味します。申告是認として扱うことになります。
この制度は、管財人が遺産を相続人に分配した後に、税務調査により遺産税の追徴が生じた場合、相続人間で混乱が生じる恐れがあるからだと推測します。
矢内一好
国際課税研究所首席研究員
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