英国の相続税は超富裕層にやさしい!相続が起きても財産がなくならない英国貴族4家と、エリザベス皇太后の莫大な財産がひ孫たちに非課税で相続できたワケ

英国の相続税は超富裕層にやさしい!相続が起きても財産がなくならない英国貴族4家と、エリザベス皇太后の莫大な財産がひ孫たちに非課税で相続できたワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では三代にわたって相続が続くと、財産がなくなるとよくいわれます。ですが英国では、三代連続で相続が発生しても莫大な土地を所有している超富裕層がいます。またウィリアム皇太子とヘンリー王子は、エリザべス女王の母で曽祖母にあたるエリザべス皇太后から1,900万ポンド(約36億円)を非課税で相続することができました。それはなぜなのでしょうか。本連載では、富裕層の国際相続の諸課題について解説します。

英国の土地制度を巧みに利用

以前ほどではありませんが、英国・ロンドンには世界の富裕層の多くが集まっています。そのなかでもロンドンの土地の主要部分を英国貴族4家が所有しています。

 

この4家とは、①グロブナー家(1677年、36万坪所有)②カドガン家(1753年、チェルシー地区所有)③ハワード・ドゥ・ウォールデン家(1879年、約10万坪所有)④ポードマン家(1532年、約32万坪所有)のことです。なお、年号はそれぞれの家が創設された年を表わしています。

 

何世代も相続が発生しながら、なぜ土地を所有し続けられるのでしょうか。

 

上記のグロブナー家は公爵という最も位の高い貴族ですが、この爵位は長子のみが相続できるものです。土地も長子相続であることから、相続人の間で分散されることはありません。

 

また英国では土地の保有制度において、フリーホールド(freehold)と呼ばれる自由土地保有権とリースホールド(leasehold)と呼ばれる不動産賃借権があります。フリーホールドは土地や建物を所有する権利が永久的にオーナーに所属するのに対し、リースホールドは土地や建物のフリーホールド権を一定期間を決めてリース販売することです。日本の定期借地権の考え方に似ています。

 

貴族4家は後者のリースホールドを活用して、土地の開発等を借用者に委ねています。

 

そして貴族階層に対する相続税の優遇措置はなく、法制度等においても特に土地保有者に有利な条件もありません。たとえば土地の保有者が、土地を出資して会社形態にしてその株式を保有したとします。要するに、土地を株式にしたのですが、英国の相続税では株式は相続財産に該当します。

 

しかし、相続税法に事業用資産と未公開株式の免税規定があります。貴族4家はいずれも法人を所有していることから、貴族4家の法人株式が免税規定に該当するのではないかと推測されます。

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