英国の土地制度を巧みに利用
以前ほどではありませんが、英国・ロンドンには世界の富裕層の多くが集まっています。そのなかでもロンドンの土地の主要部分を英国貴族4家が所有しています。
この4家とは、①グロブナー家(1677年、36万坪所有)②カドガン家(1753年、チェルシー地区所有)③ハワード・ドゥ・ウォールデン家(1879年、約10万坪所有)④ポードマン家(1532年、約32万坪所有)のことです。なお、年号はそれぞれの家が創設された年を表わしています。
何世代も相続が発生しながら、なぜ土地を所有し続けられるのでしょうか。
上記のグロブナー家は公爵という最も位の高い貴族ですが、この爵位は長子のみが相続できるものです。土地も長子相続であることから、相続人の間で分散されることはありません。
また英国では土地の保有制度において、フリーホールド(freehold)と呼ばれる自由土地保有権とリースホールド(leasehold)と呼ばれる不動産賃借権があります。フリーホールドは土地や建物を所有する権利が永久的にオーナーに所属するのに対し、リースホールドは土地や建物のフリーホールド権を一定期間を決めてリース販売することです。日本の定期借地権の考え方に似ています。
貴族4家は後者のリースホールドを活用して、土地の開発等を借用者に委ねています。
そして貴族階層に対する相続税の優遇措置はなく、法制度等においても特に土地保有者に有利な条件もありません。たとえば土地の保有者が、土地を出資して会社形態にしてその株式を保有したとします。要するに、土地を株式にしたのですが、英国の相続税では株式は相続財産に該当します。
しかし、相続税法に事業用資産と未公開株式の免税規定があります。貴族4家はいずれも法人を所有していることから、貴族4家の法人株式が免税規定に該当するのではないかと推測されます。
【12/5開催】税負担も軽減!富裕層だからできる
気軽な「海外プチ移住」の進め方