(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の「自己破産」は意外と多く、自己破産した人の4分の1が高齢者というデータもあります。彼らはなぜ自己破産に至ったのか……。本記事では、山村さん(仮名)の事例とともに、ひとり暮らしとなった高齢親の資産管理についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

配偶者の死後に注意が必要なこと

妻が先立ち、家事ができない夫だけが残された場合、食事は総菜や外食が増えて食費が妻の生前よりも増えてしまうこともあります。さらに、妻が受け取っていた公的年金がなくなり、収入は減るのに支出が大きくなるようなケースはよくあることです。

 

本記事でご紹介した良一さんのケースはかなり特殊な事例ではありますが、寂しさから馴染みのスナックに頻繁に通うようになり、支出が増えてしまったという相談はよく聞きます。

 

当たり前のように誰しもわかっていそうなことですが、自分はどの程度お金を使っても大丈夫か、一生のスパンで考えて支出の上限をしっかり決めておくことが必要です。良一さんの年金額は月に8万円程度であったため、本来は貯蓄を計画的に取り崩しながら倹約して暮らさなければならない収入レベルのはずでした。

 

また、個人経営の店舗ではよくあることですが、個人のお金と事業のお金が一緒になってしまっていることも問題です。事業のお金は事業でしっかりお金の出入りや損益を可視化し、家計は家計で管理しないと収入も支出もわからなくなってしまいます。

 

売上が入り手元のお金が多くなると先の支出のことをあまりよく考えずについ使ってしまったり、家計の支出と事業の支出が同じクレジットカードで支払われ、大きな金額の請求が来て不安になってしまったりとといった場合もあります。事業を営んでいる場合には必ず事業のお金と個人のお金はしっかり分け、可能な限り毎月売上と経費の実績や、手元のお金が足りているかをチェックしていく必要があります。

意外と多い高齢者の自己破産

日本弁護士連合会消費者問題対策委員会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、破産債務者の割合は60歳代で16.37%、70歳代以上で9.35%で、25.72%と全体の約4分の1を高齢者が占めています。

 

公的年金の受給額に対し、自分が望む生活をすると支出がどの程度になるのか、何歳まで働いて収入を得て、どの程度の資産をリタイアするまでに準備しなければならないのか、こういった資金計画がなく、行き当たりばったりでお金を使った結果このようなことになっていることが多くあります。

 

本記事でご紹介した総太さんの父のように、年齢を重ねても魅力的で、人に囲まれて自分らしく楽しく生きることができるのは素晴らしいことだと思います。しかし、それもお金がなければできなくなってしまいます。自分の生き方と、それを最大限実現するためのお金の管理、資金計画を考え、最大限自分らしく生きられるお金の使い方を考えていけるとよいですね。

 

 

小川 洋平

FP相談ねっと

CFP

 

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