マイホーム購入を夢見た60代夫妻の現実
地方在住の62歳のAさんと2歳年下の妻は、長年の夢だったマイホームを60代で購入しました。築30年の1,800万円の中古住宅を現金一括購入です。Aさんは、年金を繰上げしても月々20万円受け取れることがわかったため、妻との時間を確保しようと、65歳までは継続雇用で働くこともできましたが、早めの退職を決意しました。貯蓄もそれなりにあるし、20万円あれば、十分暮らしていけると思ったのです。
Aさんは仕事柄転勤が多く、これまでに住宅購入を検討したこともありましたが、二重生活で家計負担が重くなる点や、家族は一緒に暮らすべきだという考えから賃貸暮らしでした。しかし、子どもたちも手を離れ、退職を機に「自分の家」を持ちたいと妻と話し合います。妻も庭付きの家であればやってみたかったガーデニングができると乗り気。「60代」と一般的な住宅購入のタイミングからは遅れましたが、決断をしました。
新居への引っ越しがすむと、妻は早速ガーデニングを始め、庭には美しい花々が生活に彩りをもたらしてくれました。読書をしながら生き生きとする妻の様子を眺めたAさんは「賃貸だったらこんなことはできなかったね。思い切って買ってよかったなあ」と幸せを噛み締めました。
幸せは長く続かず…
しかし、わずか1年ほどで漏水をきっかけに配管の不具合が見つかり、配管の交換に80万円ほどかかることになりました。この出費を機に、生活費を見直さざるを得なくなり、老後の暮らしが変わっていくことになります。
現在、Aさんはその修繕費用80万円を分割払いにて返済中です。約3年後に完済予定ですが、それまでのあいだは月々の出費に応じて、生活水準を下げながら暮らしています。幸い、預貯金には余裕があり、現金一括で住宅を購入したため、月々の負担は修繕費用のみで住宅ローンの返済などはほかにありません。老後の後半に備え、預貯金には手をつけないようにしていたいため、妻はガーデニングの規模を縮小せざるを得ず、手をつけられなくなった花々が散っていく様子を悲しげに眺めています。
もし、Aさん夫妻の預貯金に余裕がなく、住宅ローンを組んで住宅を購入していた場合、さらに生活が困窮することになっていたでしょう。
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