「サザエさん的家族」が減少し、核家族化した令和の夫婦…「一緒に夕飯を食べない」一定層。夫は1年365日、誰と食べているのか【中央大学教授が解説】

「サザエさん的家族」が減少し、核家族化した令和の夫婦…「一緒に夕飯を食べない」一定層。夫は1年365日、誰と食べているのか【中央大学教授が解説】

共働きや核家族化などにより、「結婚生活」の形も変わりつつある現代。なかには、親密度が極めて低く、淡白な関係の夫婦も存在するようです。本記事では、社会学者で中央大学文学部教授の山田昌弘氏の著書『パラサイト難婚社会』(朝日新書)から、現代夫婦のリアルについて解説します。

ダブルベッドブーム期に結婚した夫婦はいまごろ…

1970年代に、「ダブルベッド世代」という言葉が存在しました。和室が人々の生活空間から失われていき、代わりに洋室が増えていった時代です。西洋の映画やテレビドラマのブームも重なり、欧米風夫婦の生活スタイルに憧れる人も増えました。そこにベッドメーカーの広告戦略がヒットし、「ダブルベッド信仰」が世間に一斉に巻き起こったのです。

 

家具会社の「新婚生活はダブルベッドから始まる」というイメージ戦略は成功し、当時大量に売りさばかれたダブルベッドたちは、今頃どうなっているのか……と、ふと私などは考えてしまいます。

 

そもそも20~30代の夫婦と、40~50代の夫婦、50~60代の夫婦では、就寝環境は異なるでしょうし、会話の頻度も違うはずです。

 

欧米の生活文化では、カップル単位、家族単位で交流することが多いことから、多少なりとも「他人の芝生」の詳細が垣間見えるものです。

 

しかし、そうした交流が少なく、他人の私生活は大っぴらに話題にすべきではないという遠慮深さが求められる日本文化では、他の家庭がどのように過ごしているか具体的に知る機会は多くありません。

「親密性調査」で結婚生活のリアルを探る

そこで私は、夫婦の家庭生活における「パートナーの親密関係の変容に関する実証研究(以下、「親密性調査」)」を2023年2月に実施しました。コロナ禍という世界規模のパンデミックを経て、「夫婦の在り方」「家族の在り方」について多くの人が自問自答した時期にも重なり、リアルな結果が得られました。

 

調査対象者は、25歳から64歳までの総数1万305人。既婚者数6325人、独身者数3980人となり、回答は調査会社のネットモニターを用いています。内訳は男性が5204人で、女性が5101人。さらに年齢別に分けると25~34歳が2154人、35~44歳が2607人、45~54歳が3030人、55~64歳が2514人という構成になります(日本学術振興会科学研究費による研究/研究代表者・山田昌弘 課題番号20H01581)。

 

この調査結果を詳細に述べると、それだけで一つの学術書になってしまいますので、本記事では絞り込んでお伝えしたいと思います。

『サザエさん』的家族の減少、核家族の増加

まずは、家族形態です。「35歳以上で子どもがいる家庭」は、全体の8割強。その中で、「自分の親と同居している」が男性9%、女性5%、「配偶者の親と同居」も男性3%、女性6%であることがわかりました。

 

つまり、「両親世帯と同居している三世代家族」という『サザエさん』的家族の在り方は、本当に少数派になったことがわかります。

 

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次ページ「夕食を一緒に食べる」割合は? 現代夫婦のリアル

※本連載は、山田昌弘氏の著書『パラサイト難婚社会』(朝日新書)を一部抜粋し、再編集したものです。

パラサイト難婚社会

パラサイト難婚社会

山田 昌弘

朝日新書

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