写真:EconomyNextより

スリランカ中央銀行は、2025年後半にインフレ率が5~7%の目標を達成する見込みだと発表した。この目標達成の背景には、2022年後半から実施されたデフレ政策がある。為替レートの引き上げと物価引き下げを目的とした措置により、スリランカ経済は短期間で劇的な変化を遂げた。しかし、これは同銀行が過去に実施した逆の政策とは対照的な成果であり、中央銀行の戦略転換がもたらした影響について注目されている。スリランカの政治・経済・金融に関する情報を中心に取り扱う現地のローカルメディア『EconomyNext』より翻訳・編集してお伝えする。

2025年後半、スリランカのインフレ率目標達成へ

スリランカ中央銀行は、2025年後半にインフレ率が5~7%の目標水準に達すると予想した。これは、2022年後半以降に続いていた金融引き締め策による物価の下落が終わり、今後は安定したインフレへと移行することを意味する。

 

デフレ政策の一環として、中央銀行は通貨高を容認し、物価の押し下げを図った。こうした政策は通常、国際通貨基金(IMF)のプログラム下では採用されにくいものである。

 

市場介入や通貨切り下げが頻繁に行われる「インフレ時代」において、デフレ政策は異例だが、スリランカ中央銀行は「デフレの要因は供給側にある」と主張している。

 

「供給側の価格調整による影響で、一時的にデフレが続くものの、この状況は2025年初頭までに落ち着く見込みです。その後、供給側の影響が弱まり、金融政策の緩和が進むことで、インフレは年後半には目標範囲内に収まるでしょう」と、2025年1月の政策行動報告書に記されている。

 

「それまでの間、中央銀行はスリランカ中央銀行法(CBA)の規定に基づき、インフレ率が目標を下回った理由を説明する報告書を議会に提出し、透明性を確保する予定です」とされており、最初の報告書はすでに提出されている。

デフレ政策と為替レート上昇の効果

一部のアナリストによると、デフレ政策と為替レートの上昇によって貿易財やエネルギー価格が引き下げられたことは、スリランカ中央銀行の75年の歴史の中で最も短期間で成功した成果とみなされている。これは、これまで同銀行が実施してきたインフレを誘導する政策とは対照的だ。

 

アメリカの連邦準備制度(FRB)は、2022年3月に金融政策を引き締めに転換し、コモディティ価格の引き下げを促進した。なお、「非金融的なインフレ」という考え方は、通貨政策が不安定な国でよく見られる。1970年代のIMFプログラムにも、「賃金スパイラルインフレ」を防ぐための賃金制限条項が含まれていた。

 

1970年代の「大インフレ」に関して、古典派経済学者たちは、供給主導型のインフレやコストプッシュと呼ばれる政策の欠陥が主な原因であると指摘している。

 

最近、FRBが引き起こした9%のインフレ率も、供給網のボトルネックによる「一時的なもの」という誤った認識が原因とされている。最終的に、FRBのジェローム・パウエル議長は、この判断が誤りであったことを認めた。

デフレ期間が市民に与える影響

スリランカ中央銀行の報告書では、「2021年末から2023年初頭にかけての高インフレの後、この一時的なデフレ期間は生活費の負担をある程度軽減し、一般市民に安らぎをもたらすと考えられている」と述べている。

 

スリランカ中央銀行のインフレ目標は5~7%であり、これは通貨安定国の中央銀行が設定する目標値の2~3倍にあたる。同銀行は、5%のインフレを実現するために、2012年、2015年、2018年、2020年に通貨危機を引き起こした。

 

歴代政権は、生活費を抑えるために閣僚委員会を設置してきたものの、中央銀行が物価を引き上げる力を抑えるために、厳格なインフレ目標を設定することはなかった。

 

一方、古典派経済学者とは異なり、現代のインフレ支持派は、物価が上がり続ける「インフレ時代」において、適度なインフレ率や「価格上昇の圧力」が経済成長には欠かせないと考えている。

 

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この記事は、THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)が提携するスリランカのメディア『EconomyNext』が2025年1月19日に掲載した記事「Sri Lanka cost of living to rise by 5-pct levels in second half of 2025」を翻訳・編集したものです。

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