遺産分割審判の効果
続いて、遺産分割審判の主な効果を2つ解説します。
遺産の名義変更が可能となる1つ目は、遺産の名義変更が可能となることです。遺産分割審判が確定すると、裁判所から審判書が交付されます。この審判書には裁判所が決めた遺産のわけ方が記されており、この審判書を使って遺産である不動産の名義変更や預貯金の解約などの手続きができるようになります。
審判書があれば、遺産の解約や名義変更などの手続きにあたって、ほかの相続人の協力(押印など)を得る必要はありません。
強制執行が可能となる
2つ目は、強制執行です。強制執行とは、裁判などで義務が確定したにもかかわらず相手方がその義務を履行しない場合に、財産を差し押さえるなどして強制的に義務を履行させる手続きです。
遺産分割の内容によっては、一部の相続人からほかの相続人に対して金銭を交付する必要がある場合があります。たとえば、唯一の遺産である不動産を長男が相続する代わりに、長男から二男に対してその不動産の時価の半額相当の金銭を支払うとする場合などです。
この場合において、決められた期限までに長男が二男に金銭を交付しない場合もあるでしょう。そのような際に、裁判所が作成した審判書があれば、長男に対して強制執行の手続きを進めることができるようになります。
遺産分割審判への対応を弁護士に依頼するメリット
遺産分割審判への対応は、遺産分割事件に詳しい弁護士へご依頼ください。最後に、遺産分割審判の対応を弁護士に依頼する主なメリットを2つ紹介します。
出席や相手方とのやり取りを代理してもらえる
1つ目のメリットは、弁護士へ依頼することで、期日への出席や相手方とのやり取りなどを弁護士に代理してもらえる点です。
先ほど解説したように、審判に自分で出席した場合は、相手方と顔を合わせることになります。また、相手方からの連絡が自身に対して直接入ります。このことが大きなストレスとなる場合もあるでしょう。
遺産分割審判を有利に進めるためには、効果的な主張書面を提出したり、自身の主張を裏付ける証拠を提出したりすることが必要です。これらを自身ですべて行うのは時間的な負荷を考えても、知識の点においても有利とはいえません。弁護士に対応を任せることで、弁護士が相手方や裁判所からの連絡窓口となってくれるほか、期日にも代理で出席してもらえるようになります。
また、主張書面の作成や証拠の準備なども委任できるため、遺産分割審判を有利に進めやすくなります。
法的な判断を任せられる
2つ目は、弁護士へ依頼することで、弁護士に法的な判断を任せられる点です。遺産分割審判においては、相手や相手方の弁護士などから和解案を提案されることが少なくありません。
しかし、法令や過去の裁判例などに関する正しい知識がないと、相手方の提案を飲むべきかどうか判断するのは難しいでしょう。自身にとって不利益の少ない内容であるように感じて相手の提案を飲んでしまったあとに、実は自身にとって不利な内容であったことに気づく事態ともなりかねません。
弁護士に依頼することで、相手方からなされた和解案などが自身にとって不利益がないかどうか判断してもらえるほか、自身の側から相手方に対する和解案の提案などもしやすくなり、思わぬ不利益を被る事態を避けやすくなります。
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