予想PERは今期になって最低となり、価格の調整はついた
次にイベント的にはFOMCに日銀の金融政策決定会合が控えていること。しばらく調整局面入りだと想定した一番の理由は(アイランド・リバーサルなどではなく―― そもそも筆者はチャート分析など信用しないのだから)これらの重要なイベントを控えて様子見姿勢が強まると見たからだ。
投資家の多くがイベント待ちで動かない・動けないとなると、急騰を受けた利益確定売りで、またはそれに乗じた売り仕掛けなど、少しの売り圧力で相場が大きく崩れることは毎度のパターンである。こうなった以上、金融政策決定会合が無難に通過するのを確認しないと、最終的なアク抜けにはつながらない。
また、急落のあとでは毎回述べていることだが、相場がいったん大きく崩れると一気には戻らないものである。「価格の調整は速いが、玉の調整には時間がかかる」から、というのがその理由だ。今回は米国のハイテク株安の余波もくらった下げなので、そちらのポジション調整との兼ね合いもあって、なかなかすっきり戻り切らないのではないかという懸念も残る。
そうはいっても「価格の調整」はついた。予想PERは今期になって最低である。日経予想で16倍割れ、QUICKコンセンサスベースで14倍台だ。
肝心の業績―― 予想EPSの上振れが鈍いので、足元ではそれほど割安感が台頭していないが、第1四半期の決算が出そろうころには、バリュエーション面での買いが正当化できる状況になるだろう。
もう一度、結論をいうと、この下げは買い向かっていい。4万2,000円台をつけたときに上放れて「窓」を空け、「離れ小島」となった。その意味は、行き過ぎであり、いわば、ある種の「幻の値」である。相場でその価格はついたのは事実だが、実際のところは「なかったものとする」というのが「離れ小島」の意味である。そうであるなら、「三空」も同じだ。3つも「窓」を空けるのは行き過ぎだ。3つ目の「窓」から下の値は、いずれ相場が「なかったもの」としてくれるだろう。
筆者はチャート分析など信用しない。これは分析ではなく、チャートの解釈である。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
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