人が集中して話を聞けるのは「40文字=4秒」
話が長く、ダラダラし、聞いていたくなくなる。そうした相手に「伝わらない」状況を回避する方法は「手短に話す」ことです。
営業担当者にとって、重要なのはクロージングです。説明は尽くした、理解も得られた、あとは相手に「OK」と言ってもらうだけ。なのに「本日はお時間をいただきありがとうございました。御社の新規事業において、弊社のこのサービスが必ずや役立つものであることは…」と、説明に戻ったかのような話を始めると、相手も現状がどの段階かわからなくなり、時間が来て「では、また次回」とあと一歩の踏み出しがないまま終わりかねません。
会議の場においても、「このテーマに関して世の中のニーズは…」「つきましてその要点は…」と、集めた資料の解説が延々と続けば「結局、要点は?」「この会議で何を決めたい?」と参加者は無駄に時間が消費されていると感じはじめ、良い意見は聞けなくなってしまいます。
「手短に話す」ためのコツは「結論から話す」ことです。1度や2度の対面や、数十分の会議で、相手の意見を変えたり、ゼロを1に変えたりすることはできません。そして相手を前にしてまずすべきことは「相手の話」を聞くことです。「伝える」ためには、ゴールの現状を知ることがスタートに立つことになるのです。
本当のスタート時であれば、「どうお考えですか?」から入ることも必要です。しかし、結論や判断を得たいクロージング段階や会議の場では、「私はこう考える」を最初に伝え、相手の「同意」「意見」「不同意の理由」を知ることが一番の成果となります。
同意を得られれば次の段階に進めます。意見を加味すれば、協力が得られるかもしれません。不同意の理由がわかれば、次の手がすぐに打てます。いずれにせよ一歩進めることができるのです。
では「手短」とはどの程度でしょうか? ベテランのアナウンサーは、TVニュースであってもラジオのように話すのを意識すると言います。「音」だけで伝わる言葉で、耳に残る音だけで「伝わる」よう心がけるそうです。その「音」は「1秒間に10音」で、たとえば「ありがとうございます」が1秒です。そして、人が一息で話せる言葉、聞く側が意識を集中できる音が「40音」「40文字」、つまり「4秒」が目安と言われています。
「この会議では本製品の価格を決めます。市場価格に対し高い設定です」。これで約40字です。会議のゴールが共有できた上で、参加者は「なぜ高いのか」を知りたくなり、次の発言を聞く準備が整います。
ポイント
●相手に「伝わらない」状況を回避する方法は「手短に話す」こと。
●「手短に話す」ためのコツは「結論から話す」こと。
●人が一息で話せる言葉、聞く側が意識を集中できるのは「40音」。
●最初の「4秒」でこれから何を話し、今、何を決めるのかを伝える。