日本年金機構「あなたは支払う必要ありません」…年金月14万円の65歳男性、約20年前に無職だった期間の〈年金未納分50万円〉を払うつもりが、追納を止められたワケ【FPが“年金の経過的加算”を解説】

日本年金機構「あなたは支払う必要ありません」…年金月14万円の65歳男性、約20年前に無職だった期間の〈年金未納分50万円〉を払うつもりが、追納を止められたワケ【FPが“年金の経過的加算”を解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生労働省「国民年金の加入・納付状況」(令和6年度3月末時点)によると、国民年金の未納者数は約72万人にのぼり、学生時代に保険料の猶予を受ける「学生納付特例制度」の利用者も対象者の63.9%に達しています。これほど多くの人が「年金の空白期間」を抱えているなか、解決策として「過去の未納分を払えば、年金受給額が増える」と、追納を検討することも。しかしこれは正論ですが、すべての人に当てはまる「正解」ではありません。本記事では、佐藤さん(仮名)の事例とともに、年金の「経過的加算」の仕組みをFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。※本記事は実話をベースに構成していますが、プライバシー保護のため、個人名や団体名、具体的な状況の一部を変更しています。

過去の「年金未納」を埋めようとしたが…

佐藤健一さん(仮名/65歳)は、地方の清掃会社で働いています。年金額は佐藤さん一人の分だけで月14万円と、老後資金に大きな余裕があるわけではありません。そのため、「働けるうちはできるだけ働き続けたい」と考えていました。

 

佐藤さんの人生に転機が訪れたのは、リーマン・ショックの直後のこと。当時勤務していた会社が倒産し、突然無職になってしまったのです。その後の約3年間は、複数のアルバイトを掛け持ちし、なんとか生活をつなぎました。子どもの大学進学費用も重なった時期だったため、家計は火の車。「いまを生きることで精一杯だった」と、当時の苦労を振り返ります。

 

目の前の生活費を優先せざるを得なかった佐藤さんにとって、その時期は年金保険料の支払いが二の次になりました。結果として、約3年間の未納期間が生じます。

 

その後、現在の会社に就職し、生活は徐々に安定。しかし60歳を過ぎ、老後が現実味を帯びてくるなかで、過去の未納期間のことが頭をよぎりました。

 

「いまからでも払えば、少しは年金が増えるはずだ」。佐藤さんは、未納分をあとから納める「追納」の相談をするため、年金事務所へ向かいました。しかし、窓口の担当者から告げられたのは、予想もしなかった言葉だったのです。

 

「佐藤さんの場合、支払う必要はありませんよ」

「払わなくていい」と言われた理由

耳を疑う佐藤さんに対し、担当者はこう説明しました。

 

「佐藤さんは現在、勤務先で厚生年金に加入されていますよね。“経過的加算”という制度で、わかりやすくいえば未納分をもう補填できているということです」

 

通常、国民年金(老齢基礎年金)は20歳から60歳までの40年間(480ヵ月)保険料を納めることで満額受給できます。60歳時点で未納がある場合、通常は「任意加入」して不足分を埋めるのが一般的です。ところが、佐藤さんのように60歳以降も会社員として厚生年金に加入して働く場合、追納の必要がなくなることがあります。

 

経過的加算の仕組み:国民年金の未納期間がある場合、60歳以後に厚生年金に加入していると、未納分を年金額に反映させる仕組みです。つまり、過去に未納期間があっても、現在の厚生年金加入によって、事実上その影響が補填されるケースがあるのです。

 

何度も聞き返した佐藤さんでしたが、制度の仕組みは簡単ではなく、すぐに理解することはできませんでした。ただ、「未納分を払わなくても、将来の年金は未納分を払ったとみなされて受け取れる」という説明を受け、ひとまず安堵。結果として、追納を予定していた約50万円は支払わずに済むことに。

 

「払わなくていいといわれて、最初は本当にそれで大丈夫なのかと疑いましたが……。でも、手元に資金を残せたことで、当面の生活に対する安心感は大きかったです」と、笑っていました。

 

 

 

次ページ未納がすべて経過的加算で解決するわけではない

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