論語、韓非子、聖書、万葉集、源氏物語…言語化能力を鍛えるなら現代本より「古典」を読むべき理由【大東文化大学名誉教授が解説】

論語、韓非子、聖書、万葉集、源氏物語…言語化能力を鍛えるなら現代本より「古典」を読むべき理由【大東文化大学名誉教授が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「思ったことを相手に正しく伝える」ために言語化能力をアップしたいならば、現代のベストセラーより「古典」を選ぶことをおすすめすると話すのは、大東文化大学の山口謡司教授です。例えば中国の古典「韓非子」などは多くの経営者が愛読書として挙げる名作ですが、なぜ古典を読むことが言語化能力に役立つのでしょうか。山口氏の著書『言語化100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。

古典を読むと思考の幅が広がる

言語化の能力を鍛えるためには、日々のインプットは非常に重要です。インプットのために読書をする場合は、どういう本を手に取るのかという選択にも意識的でなければいけません。

 

最近の話題のベストセラーなども悪くはありませんが、強くおすすめしたいのは古典です。古典とは、長い歴史の中で昔から読み継がれてきた書物のことです。古い書物ですが、その中身は決して古びていません。むしろ、人が生きていく上で考える多くのことが論じられていて、現代に通じることが書かれていると考えていいでしょう。

 

代表的な古典としては、中国のものなら『論語』や『韓非子』、西洋のものなら『聖書』、日本のものなら『万葉集』や『源氏物語』などがあります。『聖書』にはイエス・キリストが登場する前の『旧約聖書』と、イエスが登場する『新約聖書』がありますが、ここでは『旧約聖書』について紹介しましょう。

 

『旧約聖書』に収められた『ヨブ記』は、その題名どおりヨブという男を主人公とした物語です。信心深いヨブは何の罪も犯していないのに、財産、子どもたち、彼自身の健康を奪われるという試練に遭うことになります。そうした数々の苦しみに直面しながらもヨブは神を恨むことを拒否し、最後まで神への信仰を失いませんでした。

 

ヨブの姿を見ることで、我々は思い通りに生きられない不条理な世の中でいかに生きるべきかを考えさせられます。この問いかけは現代に生きる我々にも深く突き刺さるものになっています。『ヨブ記』に触れたことがあるかどうかで、思考の深さが大きく違ってくるのです。

 

『韓非子』も紹介しましょう。『韓非子』は、古代中国の思想家である韓非の言説を集めた書物です。韓非の思想は、国をつくる上での理論として活用され、後世に大きな影響を与えています。人を動かすヒントが含まれているので、現代でも愛読する経営者などは少なくありません。

 

『韓非子』の中に、木の根っこにつまづいたウサギを手に入れた農民の話が出てきます。この幸運が忘れられず、翌日から農民は畑を耕すのを止めてウサギが来るのをひたすら待ちますが、ウサギは一匹もやってきませんでした。この物語からは、成功体験に引きずられがちな我々の姿を読み解くことができます。

 

このように古典には、現代の我々が学ぶべき先人の言葉が詰まっているのです。

 

【ポイント】

●インプットのための読書では古典がおすすめ。

●人が考える多くのことを取り上げているのが古典。

●古典は、現代の我々が抱える問題にも言及している。

●古典に触れたか触れてないかで思考のレベルが違ってくる。

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※本連載は、山口謡司氏監修の書籍『言語化100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

言語化100の法則

言語化100の法則

山口 謡司(監修)

日本能率協会マネジメントセンター

【日本人は「言葉にして伝える訓練」が不足している!】 「自分の考えをまとめるのが苦手」「言いたいことはあるのに言葉にならない」「何を言いたいのかわからなくなってしまう」「ありきたりな感想しか言えない」…などなど…

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