(※写真はイメージです/PIXTA)

本来相続人となる人が先に他界している場合、その人の子や甥が相続人となることがあります。これを「代襲相続」と言います。では、本来相続人となるはずだった人が「相続放棄」をしていた場合、代襲相続は発生するのでしょうか。本記事では、具体的なケースをもとに「相続放棄をした場合の代襲相続」について、上級相続診断士の小泉栄作氏監修のもと解説します。

「相続放棄」の流れや費用、メリット・デメリット

相続放棄は遺産を受け取らず、被相続人の債務を返済しない方法です。ここでは相続放棄の手順やメリット・デメリットを解説します。

相続放棄の手順

相続放棄は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ期限内に申立てます。申立て後、相続放棄申述受理通知書が届くまで約1ヵ月~2ヵ月かかります。

 

1.相続人が相続開始を知ってから3ヵ月以内に家庭裁判所へ申立てを行う

 

2.約2週間経過後、家庭裁判所から照会書が送付される

 

3.照会書の質問事項に回答、家庭裁判所へ返送する

 

4.審理が開始される

 

5.家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送付される

 

相続放棄を希望する申述人は申立ての際、主に次の書類を用意します。自分で手続きを行う場合は収入印紙代、必要書類を収集する際の手数料を負担します。

 

・相続放棄申述書:裁判所のホームページまたは家庭裁判所の窓口等で取得

 

・被相続人の住民票除票または戸籍附票:住民票除票(1通約200円)は市区町村役場、戸籍附票(1通約300円)は本籍地の市区町村役場で取得 

 

・死亡記載のある被相続人の戸籍謄本:1通約450円、被相続人の本籍地の市区町村役場で取得

 

・申述人の戸籍謄本:1通約450円、申述人の本籍地の市区町村役場で取得

 

・収入印紙800円分:郵便局・コンビニ等で取得

 

相続放棄のメリット・デメリット

相続放棄のメリットは、相続時に問題となる被相続人の債務返済や遺産分割のトラブルを回避できるという点です。

 

相続放棄を行えば最初から相続人ではなかったことになるため、被相続人の遺産は相続できませんが、借金等の債務を引き継ぐ必要はありません。また、相続人同士で遺産分割方法を巡り揉め事になりそうな場合も、事前に放棄をすれば安心です。

 

一方、デメリットとしてはプラス財産が相続できない他、後日の撤回も認められない点です。なお、一部でも遺産を処分したり使い込んだりすると、相続を認めた(単純承認した)ことになるので放棄は認められません。

 

その他、放棄すれば被相続人の債務の返済義務は次順位の相続人に移るので、事前に周囲へ放棄する旨を伝えておかないと、相続人に繰り上がった親族との間でトラブルとなる場合もあります。

 

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