27年間の結婚生活を送り…
相談者は、夫から突然の離婚要求を受けています。
昨年末、夫は「好きな人ができたから離婚してほしい」とメールで告げ、その日から家を出て行きました。夫は愛人とともに住むため、マンションを借りています。この愛人は中国人女性で、彼女にも夫と子どもがいるため、ダブル不倫の状態です。
相談者は27年間の結婚生活を送り、息子は独立しています。
夫は会社を経営しており、相談者はこれまでなんとか離婚を回避しようと努力してきました。夫の裏切りにあっても、別れたくないのです。しかし、夫はその女性との結婚に向けて動いており、最近では義母とその女性を会わせ、義母の了解も得たといいます。還暦を過ぎた相談者は、これから1人で生きていく自信がないと感じています。
そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。
1.夫が離婚を強く望んでいるなかで、法的に離婚を回避するための方法はあるのでしょうか。
2.仮に離婚を避けられない場合、相談者が受け取ることができる財産分与や慰謝料について、どのように進めるべきでしょうか。
不倫した夫からの離婚請求は回避できる?
本件では、配偶者の不倫が離婚の原因となっており、相手方は有責配偶者といえます。そこで、有責配偶者からの離婚請求であるとして、現時点においては離婚請求を拒めるものといえます。
有責配偶者とは?
そもそも有責配偶者とは、自ら婚姻関係を破綻させた者をいいます。
本件のように配偶者の不倫によって離婚を回避できない状態となった、つまり婚姻関係が破綻したといえる場合、不倫をした配偶者は有責配偶者となります。
有責配偶者からの離婚請求は拒むことができるのか?
有責配偶者からの離婚請求を認めるべきか否かについて、従来、有責配偶者からの離婚請求については、たとえ婚姻が破綻しているとしても認めるべきではないとされていました。しかし、現在は、このような場合であっても離婚請求を認める場合があると考えられています。
離婚請求を認めるか否かについては、別居期間の長さ、未成熟子の存否、離婚によって相手方配偶者や未成年の子が極めて苛酷な状態に置かれるか否か等の事情を総合的に考慮して、有責配偶者からの離婚請求を容認してもよい状態に至っているか否かという視点から判断されることになります。
本件では、相談者ご夫婦のお子さんはすでに独立しており、未成熟子はいませんので、監護状況等に関し考慮する事情はありません。一方で、別居が昨年末から始まったばかりであり短く、現時点において有責配偶者からの離婚請求を認めるとなれば、相談者が精神的に過酷な状況に置かれる可能性があるため、離婚請求が信義誠実の原則に反するとして認められないものと考えます。
もっとも、今後も別居期間が継続し、10年を超える状態に至っては、すでに離婚したのと同じ状態の生活を長年過ごしてきたものといえます。この場合は、長期の別居期間継続という事情は、離婚請求が認められる事情として考慮されます。
また、別居期間が10年未満であっても、離婚による財産分与や慰謝料等の経済的給付が有責性に対して十分誠意ある対応をしているといえる場合には、離婚請求が認められることがあります。近時の判例では、7年から9年程度で離婚請求を認めるものもあります。
以上のとおり、本件において、有責配偶者からの離婚請求として、別居期間が短期間である現時点においては離婚を拒むことができるといえます。しかし、今後の別居期間の継続や誠意ある対応等により、離婚が認められる場合があることには注意が必要となります。
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