前週の⽶国経済…個⼈消費や労働市場の減速が顕著に
⽶商務省が6⽉28⽇に公表した、2024年5⽉の個⼈⽀出(価格変動の影響を除いた実質ベース)は、前⽉⽐+0.3%(4⽉:同▲0.1%)と、市場予想通りの結果となりました(図表1)。
四半期ベースでは、2023年10-12⽉期の前期⽐+0.9%から 2024年1-3⽉期に同+0.4%へ減速した後、4-5⽉(平均)は、1-3⽉期(平均)対⽐で+0.3%となるなど、個⼈消費は減速傾向にあります(図表2)。
実質個⼈⽀出の内訳をみると、財⽀出は2024年に⼊ったあと、失速しています。年末商戦の反動から、2024年1-3⽉期に前期⽐ ▲0.6%となったあと、4-5⽉期は1-3⽉期対⽐で+0.0%と、年明け以降の落ち込みを取り戻せていません。
加えて、サービス⽀出は、増加基調こそ維持しているものの、増加ペースは鈍化しています。 2023年10-12⽉期、2024年1-3⽉期にそれぞれ前期⽐+0.8%となったあと、4-5⽉期(平均)は、1-3⽉対⽐で+0.4%と伸びが鈍化しています。⻑く続いたコロナ禍からの経済活動正常化に伴うペントアップ(繰り越し)需要が、ようやく⼀巡しつつあります。
財⽀出のうち、耐久財は2023年10-12⽉期の前期⽐+0.8%から2024年1-3⽉期に同▲1.1%と下落したあと、4-5⽉期(平均)は、1-3⽉期(平均)対⽐で、+0.1%と落ち込みを取り戻せていない状況にあります(図表3)。
4-5⽉期は⾃動⾞の回復が鈍いほか、娯楽⽤品の減少が続くなど、消費者の節約志向の強まりによる裁量的⽀出の抑制が反映されているとみられます。
⾮耐久財については、2023年10-12⽉期の前期⽐+0.7%から2024年1-3⽉期に同▲0.3%と下落した後、4-5⽉期(平均)は1-3⽉期(平均)対⽐で▲0.0%と⼩幅ながらも減少が続いています(図表4)。
4-5⽉期は、⾷料こそ増加したものの、被服・履物が減少したほか、燃料はガソリン価格の上昇を受けて急減した、1-3⽉期からの戻りが弱い状況にあります。
先⾏きを展望すると、コロナ禍で積み上がった過剰貯蓄の取り崩しが進むなか、労働需給の緩和を背景に、賃⾦の伸びが鈍化していくことから、個⼈消費は減速傾向が持続すると予想されます。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は、6⽉28⽇、「⾦融政策は広く考えられているほど引き締め的ではないかもしれない。私はまだラグが発⽣していると確信している。もろもろの引き締めで、最終的には、⼀段と景気が減速するだろう」と述べつつ、「同時に、経済が驚くほど強いことを踏まえると、⾃然利⼦率※1がやや上⽅にシフトしたという考え⽅を受け⼊れられる」と釘を刺しています。
※1 経済に対して引き締め的でも緩和的でもない実質⾦利
FRB⾼官が指摘するように、仮に、⾃然利⼦率が上昇していれば、個⼈消費の腰折れは、回避される可能性が⾼いと考えられます。