前週の⽶国経済…6⽉の雇⽤統計は労働市場の減速を⽰唆
⽶労働省が公表した2024年6⽉の雇⽤統計によると、⾮農業部⾨雇⽤者数(事業所調査、季節調整済み)は、前⽉差+20.6万⼈と、市場予想(同+19.0万⼈)を上回りました(図表1)。
しかし、4⽉が前⽉差+16.5万⼈から同+10.8万⼈、5⽉が前⽉差+27.2万⼈から同+21.8万⼈、合計で同+11.1万⼈下⽅修正されました。その結果、過去3か⽉移動平均は前⽉差+17.7万⼈と、2021年1⽉以来の低⽔準となりました。
雇⽤創出ペースは、⺠間部⾨を中⼼に減速しつつあります。⺠間部⾨は5⽉の前⽉差+19.3万⼈から6⽉に同+13.6万⼈へ⼤きく減速し、2023年平均(同+19.2万⼈)を明確に下回りました(図表2)。
⼀⽅、政府部⾨については6⽉に前⽉差+7.0万⼈と、5⽉の同+2.5万⼈から増勢が加速しました。もっとも、四半期で均すと2023年10-12⽉期(⽉平均)の+5.8万⼈から2024年1-3⽉期に+6.4万⼈に加速したあと、4-6⽉期は+3.2万⼈へ幾分鈍化しています。
6⽉の失業率(家計調査)は4.1%と、5⽉(4.0%)から横ばいとの市場予想に対して⼩幅ながら上昇しました。6⽉にFOMCが公表した経済⾒通しにおける2024年末の⾒通し(4.0%)を上回り、均衡と位置付けられる4.2%に接近しています。FOMC参加者の想定より早いペースで、失業率が上昇していることになります。
また、失業率の過去3ヵ月平均が、過去12ヵ月の最低値から0.5%上昇したときに、景気後退が始まるとされるサーム・ルールによると、6⽉は0.43%と5⽉(0.35%)から上昇し、景気後退を⽰唆する⽔準に近づきつつあります(図表3)。失業率が7⽉に4.2%に上昇すれば、サーム・ルールから求められる数値は0.5%に達し、景気後退のサインが点灯することになります。
6⽉の平均時給は前年⽐+3.9%(市場予想︓同+3.9%)と、5⽉の同+4.1%から伸びが鈍化しました(図表4)。
賃⾦上昇圧⼒が鈍化しつつある背景には、労働需給の緩和(求⼈件数の減少)が影響していると考えられます。求⼈件数は、2023年10-12⽉期の前期⽐▲3.5%から2024年1-3⽉期が同▲2.2%へ減少ペースが鈍化したあと、4-6⽉期には、同▲7.0%へと減少幅が拡⼤しています。
平均時給(前年⽐)は、求⼈数に対して6ヵ月程度遅⾏する傾向があるため、⾜もとの求⼈数の減少は、年末にかけて賃⾦への下押し圧⼒、ひいてはインフレ圧⼒の低下につながることを⽰唆しています。