2―敵対勢力が管理するアプリケーションの禁止(2条)
1|禁止されるアプリケーション
本法(原文ではdivision、章、節などと訳されるがここでは本法とした)により、外国敵対勢力が管理するアプリケーション(例:TikTok)の配布、保守、更新をすること、またはインターネットホスティングサービスで提供することが禁止される。ただし、この禁止は、大統領が定める適格売却を実施した対象アプリケーションには適用されない。
本法において、外国敵対勢力が管理するアプリケーションとは、(1)ByteDance, Ltd.、TikTok、それらの子会社、後継者、それらが管理する関連事業体、または外国敵対勢力が管理する事業体、または(2)敵対国が管理し、国家安全保障に重大な脅威をもたらすと大統領が判断したソーシャルメディア企業が直接または間接的に運営するアプリケーションを指す(ここでいうソーシャルメディア企業には、主に製品レビュー、ビジネスレビュー、旅行情報やレビューの投稿に使用されるウェブサイトやアプリケーションを含まない)。
本法において、敵対国には北朝鮮、中国、ロシア、イランを含む。
2|適格売却とデータ移管
適格売却とは、大統領が(省庁間のプロセスを通じて)決定した、以下のいずれをも満たす取引のことである。
・適格売却の結果、当該外国敵対者が管理するアプリケーションが外国敵対勢力によって管理されなくなること、かつ
・当該アプリケーションの米国での運用と、外国敵対勢力によって支配されている、適格売却以前の関連事業体との間の運用関係の確立または維持(コンテンツ推奨アルゴリズムの運用またはデータ共有契約に関する協力を含む)を排除すること。
この禁止は、本法の施行日から270日後に適用される。本法は、大統領が議会に対し、以下の3点を証明した場合、対象アプリケーションに対し、90日を上限とする1回限りの延長を認める権限を与える。
(1) 対象アプリケーションの適格売却を実行する道筋が特定されていること、かつ、
(2) 対象アプリケーションの適格売却の実行に向けた重要な進展の証拠が示されていること、かつ、
(3) 延長期間中に適格売却の実行を可能にする関連する適切な法的合意が整っていること
さらに本法では、対象外国敵対勢力の管理するアプリケーションに対し、禁止の効力を発生する前に、ユーザーの要求に応じて、利用可能なすべてのアカウントデータ(投稿、写真、動画を含む)をユーザーに提供することを求めている。アカウントデータは機械可読形式(machine-readable format)で提供されなければならない。
3|執行権限
本法は、司法省に違反の調査とその本法の規定の執行について権限を付与する。本法に違反した事業者は、違反に対して民事罰の対象となる。対象アプリケーションの配布、維持、更新、またはインターネットホスティングサービスにおいての提供の禁止に違反した事業体には、違反の結果としてアプリケーションにアクセス、維持、または更新した米国ユーザーの数に最高額5,000ドルを乗じた罰金が課される。
また、要求に応じてアカウントデータをユーザーに提供するという要件に違反した事業体には、最高500ドルに、違反によって影響を受けた米国ユーザーの数を乗じた額の罰金が課される。
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