いとこから聞かされた母の死に愕然
佐藤さん夫婦は、ご近所から庭の草が伸び放題になっているとの連絡を受け、久しぶりに実家へ戻って草刈りをしていると、佐藤さんが来ていることを聞きつけた親せきが、急ぎ足でやってきました。
「妻と草を刈っていたら、突然いとこがやってきたのです」
いとこがいうには、母親は2カ月前に亡くなっており、先日四十九日をすませているとのことでした。
「いとこは〈先日の伯母さんの葬儀と四十九日では、顔が見えなかったからとても心配していた。一体どうしたんだ?〉というんです。私が〈姉からなにも聞いていない〉〈母親が入所した施設も教えてもらえなかった〉というと、目を見開いて驚いていました…」
姉から届いた配達証明郵便に戦慄
そうこうするうち、佐藤さんの姉から配達証明郵便が送られてきました。1枚目は絶縁状、そしてほかには母親の公正証書遺言の正本や死亡届など、母親が亡くなったことがわかる書類でした。
遺言書には「佐藤さんと佐藤さんの妻には土地を相続させ、預貯金をはじめとする残りの一切の財産は姉に相続させる」とありました。
「これには本当に呆れました。金輪際、自分勝手な姉には関わりたくない。いっそ相続放棄をしたほうがいいのでしょうか? それをアドバイスいただきたくて…」
佐藤さんはそういうと、大きくため息をつきました。
感情に任せた安易な相続放棄、得策とはいえない
遺言書で指定された土地は100坪ほどの広さがある空き地ですが、道路に沿ったヒョロッと細長い形状で、大きな建物は建てられません。しかし、路線価地域内にあるため相続評価は1,500万円程度あります。
「こんなものをもらっても、どうしようもないでしょう?」
ウンザリした表情を見せた佐藤さんですが、
「この土地自体には活用の余地はありますよ」
筆者の事務所の提携先の税理士がこのようにいうと、驚いた表情を見せました。
金融資産がどれほど残っているのかは不明ですが、おそらくマイナスではないと想定されます。そのため、相続放棄をするのではなく、まずはこの土地を相続しておき、もし利用しないのであれば、あとから売却した方がお得になるのです。
税理士の説明に佐藤さんは「短気を起こしてはいけませんね…」とポツリ。
まずは遺言書に書かれていた土地を相続し、その他の母親名義の預貯金については、あとから改めて対応を検討することになり、佐藤さんの母親の相続の、最初の一歩がスタートしました。
※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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