「借入先は1行のみ」の不思議
銀行取引のことをお聞きすると、「なぜ? そうなのですか?」と感じることがしばしばあります。
■借入先は1行のみ
少額だけの借入ならいいのですが、月商の3ケ月分以上の額を借りておきながら、借入先が1行のみ、というケースがあります。
長期・短期と借入が何本にもわかれているのに、それでも1行からの借入なのです。
「なぜ? 1行からしか借りてないのですか?」とお聞きします。多いのは、
「いやぁ、先代からのつきあいで・・・・」
「苦しい時代に助けてもらったことがあって・・・」
「先代の遺言で・・・」
「ウチの経理がその銀行出身で・・・」
などというパターンですね。1年間に、数人はおられます。
しかし、金利は高いわ、必要以上に借りてるわ、と、完全に、銀行のための借入になっているのがほとんどです。
そのことを申し上げると、「そうなんですよ・・・、これじゃダメだなと感じてます。」となり、多くの経営者が、この状況を脱したいと思っているのです。
「じゃあなぜ、そうしないのですか?」と、お聞きします。
「毎年、わが社の事業計画発表会に招いてますし・・・」
「よく接待してもらってますし・・・・」
「何かと情報をもらっているし・・・」
「あの銀行の○○を、うちでさせてもらってますし・・・」
などという声が返ってきます。
とはいえ、銀行以外の取引先なら、これらのことがあっても、相見積もりもとるし、価格や条件次第では、業者を変えます。2社購買だってあります。
銀行は「現金の仕入先」で、他の取引業者と変わらない
結局、銀行は現金の仕入れ先なのですが、他の取引業者とは違うものと認識されていますね。ビジネス上では対等の相手なのに、どうも目上の存在のように感じておられるのです。なぜか、頭が上がらないのです。
その弱みを、銀行がついてきているのです。その結果、今時の低金利時代なのに、平気で2%前後の金利で借りていたりします。それなのに他行・他者の相場を知らない経営者は、「ウチはかなり低い金利で借りてますよ!」などとおっしゃるのです。
とにかく、銀行以外の取引同様に、相見積もりをとり、交渉をつける習慣を身につけてほしいですね。