年度末に増える銀行から融資打診。今回は、その真意について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

銀行の頼みを聞いたばかりに「格付け」が低下!?

決算書を見せていただくと、「なんでこんなに現金があるのに、借入があるんですか?」という場合があります。

 

「もし何かあったときのために」という返答もありますが、同様に多いのが、「銀行から、少しの間だけ借りてください、と頼まれて・・・」というものです。

 

銀行からのお願いを、断り切れないのです。「いやまあ、6月末には返すことになっていますから」とおっしゃる方がおられます。3月末以外が自社の決算月なら、交換条件を出すなどして受け入れることもあるでしょう。しかし、自社も3月末決算なら、そのようなお願いは絶対に断ってほしいのです。それではもう遅いのです。

 

結局、その借入が決算書にのり、銀行格付けの判断材料となってしまうのです。借入が増えることで、総資産が増えます。となると、自己資本比率は下がってしまいます。しかも、金利支払も発生します。自社にとってなんのプラスもありません。

銀行に協力するなら、必ず「交換条件」の提示を

銀行だって、3月末は年度末です。だから、決算書の数字をよくしたいのです。つまりは、決算書に占める融資金額の残高を大きくしたいのです。手持ちのカネを、どれだけ貸せているか、ということが銀行の評価に直結します。決算書の数字をよくするために、営業努力をしているわけです。で、その協力をしてしまっている、というのが冒頭のような会社なのです。

 

3月に入って、銀行がやたらと声をかけてくる、というなら、そのような誘いには絶対に乗らないでください。逆手にとるなら、

 

「その代わりに現状の借入を借り換えで金利を下げてほしい」

「その代わりに返すときには、他の借入も併せて繰上げ返済させてほしい」

 

という、自社にメリットのある交換条件を出してほしいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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