今回は、借入金を原資にした現預金の保有が危険な理由を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

借入金以上の現預金を持っている会社も・・・

銀行取引のことをお聞きすると、「なぜ? そうなのですか?」と感じることがしばしばあります。

 

■なぜ必要以上の現預金を借りるのか?

貸借対照表の右側に短期・長期などの借入金があり、左側に、それに相当する額の現預金をお持ちの場合があります。ひどいときは、借入金以上に現預金を持っておられます。

 

「なぜ、こんなに現預金を持っているのですか?」

と、お聞きします。

 

「何かあったときのために・・・」

「銀行から、今なら金利が低いと言われて・・・」

「銀行の方から頼まれて・・・」

「経理担当に任せていたら、こうなったんです・・・」

 

などとおっしゃいます。

 

いずれにせよ、必要ないのに借りているわけです。その分、総資産が増えますから、自己資本比率などの経営指標は悪化します。当然、金利もその分発生します。財務にとって、害はあれどもプラスなし、なのです。

在庫と同様、「現金も最小限」で回すのが効率経営

「先代の時代から、”1年分の売上がない状況があっても給料が払えるようにしておけ!”という遺言があるので・・・」

 

という話しも聞いたことがあります。

 

しかし、1年間も売上がない状況になったとしても、その調達先の銀行への毎月の返済は待ったナシです。震災や風評被害などを受けて、やむなく倒れるのは、借入の多い会社です。借入してまで、必要以上に現金を持つことは、危険なことなのです。

 

支払うカネも必要ですが、入ってくるカネもあるのです。出るのと入るのと、タイミングをうまくすれば、月商の0.5ケ月分でも資金繰りは可能な業種がほとんどです。在庫同様、現金もギリギリで回すことが、効率の良い経営なのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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