今回は、銀行から持ちかけられた融資話を「断る」とどうなるかについて見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「いまのところ借りる案件はないので・・・」

ある経営者がこう言いました。「このあいだ、銀行に初めて言えた言葉があるんですよ」とおっしゃるのです。「どんな言葉ですか?」とお聞きしました。

 

こういう言葉だそうです。

 

「いやぁ、いまのところ借りる案件はないので、どうかお引き取りください」

 

普段から使っている方にはどうってことのない言葉なのですが、「銀行にそんなこと、言ったことがないです!」という経営者も結構おられるのです。

 

で、銀行から借りてください、と言われると、簡単に借りてしまうのです。心のどこかで、「銀行の言うことをきいておかないと、貸してくれないかもしれない」という不安を抱えておられる場合が多いですね。

 

あるいは、経理担当者が銀行出身者で、古巣にいい顔をしたいから、「借りておいたほうがいいですよ」などと言われ、借りてしまうのです。冒頭の経営者も、このパターンでした。

財務の知識があれば、「断る」判断ができるようになる

いずれの場合も、財務に明るくないから、銀行のことがよくわからないから、判断ができず、申し出を受けてしまうのです。そこで冒頭の経営者は、財務のことを勉強し、判断できるようになってきたのです。

 

そうすると、銀行は、言うことを聞いてくれる企業に貸すのではなく、返済能力があるとみている企業に貸したい、ということも理解されたのです。そして、これまで言えなかったセリフをようやく言えたのです。

 

「言ってみてどうでした?」とお聞きすると、「いやぁ、なんか気持ちいいですねぇ。スッキリしました」とのことでした。

 

さらに、「それ以来、今まで以上にウチに来るようになったんですよ」とのことで、「これまでさんざん協力してきたんだから、しばらくはスッキリする言葉を使い続けます」と、気持ちよさそうに語っておられました。

 

財務に明るくなり、融資の要・不要の判断ができるだけで、経営者にとっては、とても大きな自信となるのですね。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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