今回は「売上高の増減」が銀行との融資交渉に与える影響を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

銀行が重視するのは「売上」よりも「返済能力」

ときどき、経営者から次のような質問をいただきます。

 

「儲けのない取引先は切れとおっしゃいますが、それで売上が2割も下がったら、銀行はどう思うんですか?」

 

要は、銀行取引に何か不利なことが生じないのですか? ということです。では、きっぱり申し上げます。「何とも思いません。」と。

 

銀行はあくまでも、返済能力があるかどうかを見るのです。売上が下がろうと、残るキャッシュが変わらないなら、何もいうことはないのです。

 

お金を貸しているのですから、返せる力があるかどうかを見るのは、当たり前のことです。

売上が下がろうとも「営業利益」の確保を

じゃあその“返済能力”というのは何か? ということです。債務償還年数に変動が生じていないかをみます。銀行評価では、次の計算式を使います。

 

債務償還年数=(長・短借入金)÷(営業利益+減価償却)

 

売上高が増えた、減った、ということは、直接的には関係しません。売上高の伸び率という評価項目もありますが、極めて小さいウエイトです。

 

営業利益がこれまで同様に出ているのか? 増えているのか? 減っているのか? によって、債務償還年数は変動します。その年数が15年を越えてきたら、銀行もいろいろと条件を付けてくるでしょう。好条件の金利を引き出すことも、無理でしょうね。

 

だから、売上よりも利益重視であってほしいし、借入金を小さくする努力を常日頃からしておいてほしいのです。売上が下がろうとも、営業利益を確保すればよいのです。

 

そのためには、利益の小さい取引先を見直してほしいのです。しかしその時、口をはさむのが、よからぬ営業マンです。それについては、また次回に・・・。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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