決算前にもかかわらず、銀行のささやきに負ける社長
企業への融資のために、銀行はあの手この手で経営者にささやいてきます。この言葉もよく聞きます。
「少しの間だけでいいですから」
銀行の決算期、3月下旬頃にこの言葉があちらこちらでささやかれます。
要は、銀行自身の決算期の数値をよくしたい。貸し出している金額を少しでも大きくしたい、いわば、貸借対照表をより健全なものにしたい、ということです。
で、借りてしまう。驚くのは、こちらも3月末決算なのに、銀行のささやきに負けて借りてしまう、というパターンです。
不要な借入れにはひとつも良いことはなし
銀行が貸したいのは、財務でいえば、余分な贅肉の部分です。その贅肉を預かり、一時的とはいうものの、それが自社の決算書に反映されます。
他の銀行との交渉時等には、その決算書を見て判断されます。一時的とはいうものの、自社の借入金は膨れ上がり、自己資本比率は下がります。当然、格付け評価の下がる要因となります。
で、これはかくかくしかじかの理由で、と社長が説明すると、その銀行も、3月下旬になると、冒頭のセリフをささやいてくるのです。この会社はお願いすれば聞いてもらえそうだ、と判断されるわけです。
例えこちらが3月末決算でなくても、金利は発生しますし、プラスのことは何もありません。
さらにたちの悪いささやきは、「このまま持っておかれたらどうですか?」というものです。で結局、必要もないのに借入金が増えてしまうのです。
「不要な借入れは絶対にしない、それがわが社の考え方です」と、社長は自信を持って対応するべきなのです。