八方塞がり
あれから1年が経過した。相続税の納税は無事に完了したが共有不動産について多くの問題が発生している。賃料については不動産業者に依頼を行い折半して各口座に振り込みしてもらうことで了承を得た。
また、銀行の債務引受に当たっては承諾を取ることに非常に苦労をしたが、連帯債務とすることでそれぞれの口座から引き落としする方法とした。固定資産税については一旦代表して支払いを行っているが、弟に請求をかけても返答がない。
さらには、不動産の原状回復などにおいても弟は支払いを拒んでおり、実施ができていない。結果として不動産収支は悪化の一途をたどっておりローンの返済に支障が出てくる瀬戸際まで追い込まれている。
そのほか、双方の意思決定が必要な事項(下図に一例を記載)についてもことごとく拒んでおり、なすすべがなくなってきている。
資金面でもショートしかねないことから実家の売却の検討も始めた。また、共有持分を買い取っているという不動産会社に査定を依頼したが、相場の半分程度でありローンの完済もままならない。
八方塞がりの状況となり、弟と共同で不動産を売却し金銭に替える以外には方法(主な共有解消についての手法を図表2に記載)はなく、この代で清水家の資産はなくなることであろう。弟が嫌がらせを続けている理由も、自分が音を上げて売却の提案をしてくることを待っているに違いない。
まとめ:「遺産分割」で代々の資産を失う地主は多い
・(不平等になることを前提として)生前に養子縁組や遺言の作成を行って遺留分まで引き下げておく必要がある
・承継対策にあたっては早くから取り組んでおかなければならない(後で考えればよい、次の代に任せればよい、では後悔することになりかねない)
・不動産の共有を選択することは根本的な解決にはならない
・日頃から家族全体での話し合いを行っておく必要があり専門家も入れておくことが肝要
・被相続人の意向は生前から適切に残さないと伝わらない
・頑なに分割協議に応じない場合には当事者が気づいていない根本的な理由(過去の恨みなどの事情)がある可能性が高い
以上のポイントを押さえることが重要である。
小俣 年穂
ティー・コンサル株式会社
代表取締役
<保有資格>
不動産鑑定士
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
宅地建物取引士
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