80代父所有の一棟アパート、相続対策のはずが「エリア不人気・空室激増」+返しきれない借入金まで…50代息子、戦々恐々【FPが助言】

80代父所有の一棟アパート、相続対策のはずが「エリア不人気・空室激増」+返しきれない借入金まで…50代息子、戦々恐々【FPが助言】
(画像はイメージです/PIXTA)

都内の不動産価格や家賃価格の上昇が続いていますが、すべてのエリアが該当するわけではありません。もしも人気のないエリアに築古かつ家賃収入の下がった賃貸物件を所有していると大変です。対応策はあるのでしょうか? ある50代男性の事例をもとに、FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

家賃引き下げでは対処不可能…売却しか手がない

賃貸経営が苦しくなる主な理由は、賃料の低下と金利の上昇、修繕費など経費の増加で、これらの問題は、事業開始後20年くらいして顕在化することが多いようです。借入金の返済が終わっても、それで安泰になるわけではありません。

 

筆者は上記の相談者の方から「マンション建築当時、ハウスメーカーが事業収支シミュレーションを見せながら〈将来30年間にわたって黒字の安定経営が続く〉といった説明をされた」ことを、あわせて伺いました。実際、このような話をされてアパート建築に踏み切った方も多いと聞きます。

 

しかし、そういった事業収支では、賃料収入が30年にわたって一定だったり、空室リスクや修繕費用が加味されていなかったりと「受注のための楽観的な内容」になっていることが多いのです。

 

では実際に、どれほど家賃の引き下げをすればよいのでしょうか? 新築物件と中古物件の賃料を比べると、中古物件の賃料のほうが低くなります。東京都でも築年数が1年異なれば、賃料単価は1%ほど低くなります。

 

同じ立地で新築なら月額10万円の家賃でも、築25年になれば月額7万5,000円程度になるでしょう。入居者の入れ替えのたびに、賃料は下がる可能性があるのです。

 

管理会社とサブリースを結び、賃料保証がある場合は、ある程度の空室リスクを軽減できますが、サブリースでも賃料の引き下げを求められることがあるため、賃料引き下げによる収入減は免れません。

 

空室率の問題もあります。空室率を割り出すには、入居から退去までの期間と、入居者入れ替えのために空室になる期間の比較が必要となります。一般的に、退去後に部屋の原状回復工事や入居者募集活動には、3ヵ月ほどかかります。入居から退去まで平均4年と仮定すると、4年間のうち3ヵ月間が空室となるため、どれだけ頑張っても、6%ほどの空室率が発生します。

 

これらの問題点を総合的に考慮すると、相談者の方の物件は、この先賃貸経営を立て直すことは難しいと思われます。したがって、借入金を返済できなくなる前に、思い切って売却することをお勧めします。

 

 

岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

 

★不動産賃貸経営とその売却のタイミングについてはこちらをチェック!

【賃貸マンション経営】不動産賃貸事業で失敗するワケ!賃料下落や空室への対処法!50代・60代必読!

 

★不動産売却を不動産業者に依頼する方法についてはこちらをチェック!

「不動産売却の手引き」業者選びから査定までの完全ガイド

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

注目のセミナー情報

​​【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』

 

【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!

 

​​【事業投資】11月28日(木)開催
故障・老朽化・発電効率低下…放置している太陽光発電所をどうする!?
オムロンの手厚いサポート&最新機種の導入《投資利回り10%》継続を実現!
最後まで取りつくす《残FIT期間》収益最大化計画

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録