2.景気動向
<現状>
●米国の10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+3.4%と、堅調な個人消費にけん引され、2四半期連続で高い成長となりました。
●欧州(ユーロ圏)の10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率▲0.2%でした。高い金利が個人消費の重石となり、弱い動きが続いています。
●日本の10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.4%と、2四半期ぶりにプラスとなりました。設備投資が速報値から上方修正されました。
●中国の10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.2%と、前期から伸びました。ただし、名目GDP成長率は同+3.7%と実質を下回りました。
●豪州の10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+1.5%と、前期から減速しました。物価高で個人消費が伸び悩み、前期比は+0.2%でした。
<見通し>
●米国は、これまでの大幅な利上げに伴う景気抑制効果から、景気が緩やかに減速するとみられます。ただし、雇用が安定しており、個人消費が底堅いことや、企業収益が回復傾向にあることから、景気の急減速は避けられ、軟着陸(ソフトランディング)に至るとみています。
●欧州は、ECBの金融引き締めによる景気抑制効果により、低成長が続くとみられます。ただし、インフレの鈍化による購買力の回復に加えて、労働力不足に伴う底堅い雇用、財政の支援などが景気を支えるため、腰折れはしないとみています。
●日本は、1-3月期の実質GDP成長率については、自動車大手の生産中止の影響からマイナス成長が見込まれます。しかし、インフレの鈍化と賃金の上昇、経済対策の効果、インバウンド消費の増加、堅調な企業収益を背景に、緩やかな景気回復のパスに復調する見通しです。
●中国は、不動産市場の低迷や海外景気の減速で需要不足が続き、若年層の雇用悪化の影響などから個人消費も力強さを欠くことから、景気の回復ペースが鈍化するとみられます。ただし、政府が拡張財政を継続することから、急激な減速は避けられる見通しです。
●豪州は、中国景気の減速に加え、利上げの累積効果や、粘着質なインフレで家計の実質可処分所得が圧迫されることから個人消費が力強さを欠き、当面景気が緩やかに減速するとみられます。ただし、年後半の利下げ実施により、25年にかけては徐々に持ち直すとみています。