5.企業業績と株式
<現状>
●ファクトセット(FactSet)によれば、S&P500種指数の3月の予想1株当たり純利益(EPS)は前年同月比+10.3%となり、7ヵ月連続で過去最高水準を更新しました。また、TOPIXの2月予想EPSは前年同月比+16.7%となり、10ヵ月連続で過去最高水準を更新しました。
●米国株式市場は、NYダウやS&P500種指数が最高値を更新するなど、上昇しました。FRBが公表した政策金利見通しで年内3回としていた利下げ予想を維持したことや、パウエルFRB議長のハト派発言を受けて、投資家のリスク選好姿勢が強まりました。
●日本株式市場は、日経平均株価が4万円台に乗せ、最高値を更新するなど、続伸しました。日銀が金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決めたものの、当面緩和的な金融環境が続くとの観測が広がり、好調な企業業績を背景に引き続き上値を追う展開となりました。
<見通し>
●米国株式市場は、インフレが減速傾向にあるなか、米景気が堅調さを保っていることから、今後も米景気のソフトランディングを前提とした適温相場が続くとみています。先行きのFRBによる利下げが視野に入るなか、米景気のソフトランディングに伴い企業業績の拡大が見込まれることから、投資家のリスク選好姿勢は継続するとみられます。このため、米国株式市場は緩やかにレンジを切り上げる展開を予想しています。
●日本株式市場は、日本の名目GDP成長や製造業における景気循環の底打ちを背景とした企業業績の拡大を背景に上昇すると予想します。これまでの上昇スピードの速さから調整リスクはあるものの、業績相場に入ることで下値は限られそうです。また、コーポレート・ガバナンス(企業統治)改革進展への期待に加え、自社株買いや新NISA(少額投資非課税制度)の資金流入など良好な株式需給も相場上昇を支えるとみています。
6.為替
<現状>
●円の対米ドルレートは、151円台に下落しました。日銀のマイナス金利政策解除の観測から月中旬に円高に振れましたが、実際に日銀が大規模金融緩和を大きく修正すると、日米金利差が開いた状況が長く続くと見込んだ円売り・ドル買いが優勢となり、円安が進みました。
●円の対ユーロレートは、日銀がマイナス金利政策の解除したものの、緩和的な金融環境を維持する姿勢を示したことから下落しました。
●円の対豪ドルレートも、日豪金利差が開いた状況が長く続くと見方などから下落しました。
<見通し>
●円の対米ドルレートは、米金利の低下に伴い、緩やかに上昇すると想定します。当面はもみ合い推移が続くものの、先行きはFRBの利下げ開始と日銀の利上げによる日米金利差縮小が円の上昇要因となるとみています。ただし、日銀は連続的な利上げを急がず、円の上昇余地は限られそうです。
●円の対ユーロレートは、当面レンジ内でもみ合うものの、先行きはECBによる利下げと日銀の利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。
●円の対豪ドルレートは、当面レンジ内でもみ合うものの、先行きは豪州中銀の利下げと日銀の利上げが意識され、緩やかに上昇すると予想しています。