経営者にとって避けては通れない「資金繰り」の問題。本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

銀行は決算書をもとに「格付け」を行い、融資を判断

銀行が融資をする際、スコアリング(=格付け)を行います。その際、決算書をもとに、さまざまな経営指標を算出します。その数字が良ければ“ぜひ借りてください!”となり、悪ければ“こういう条件なら融資できます”となるわけです。

 

数字が良ければ金利は低くなり、数字が悪ければ金利は高くなってゆきます。ならば、決算書の数字を、銀行が貸したくなるようにすればよいだけの話です。

 

かといって、粉飾をせよ、というわけではありません。さまざまな要素がありますが、つきつめれば、要点は次の2点です。

 

①営業利益率を高くしておく

②自己資本比率を高くしておく

 

「それができれば苦労はないよ」という方がおられるかもしれません。しかし、これができるのにしていない、という決算書が多いのです。

営業利益率を高くするには・・・

①営業利益率を高くしておく

まずは次のグラフをご覧ください。

 

 

営業利益が、次の2点によって、小さくなってしまっています。

 

(1)特別損失で計上できる費用が、一般管理費で計上されている

(2)売上高で計上できるのに、営業外収入に計上されている

(定款に書かれている業務なら、売上高にできます)

 

といったことがあるのです。

 

営業利益を高くするには、

 

●売上高をできるだけ大きくする

●原価・経費をできるだけ小さくする

 

のふたつしか方法はありません。

 

特別損失として計上できるのに一般管理費に計上されている、最も多いものは、退職金、ですね。これは金額も大きく、一般管理費にするか、特別損失にするか、では、営業利益と経常利益が大きく変わってきます。

 

では、次のグラフをご覧ください。

 

 

営業外収益を売上高に計上し、退職金を特別損失に計上しました。これだけでも、営業利益率は大きくなります。一番右の税引き前利益はどちらも同じです。

 

銀行融資を有利に導くには、銀行が評価する数字を良くしておくことです。そうすれば、貸したい銀行が競い合い、金利も大きく下がります。決算を確定させる前には必ず、これらのことをチェックしてください。

 

②自己資本比率を高くしておくについては次回説明します。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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