日銀の「マイナス金利解除」決定後も継続する<投機的な円売り>に終止符は打てるのか【国際金融アナリストの見解】

3月26日~4月1日の「FX投資戦略ポイント」

日銀の「マイナス金利解除」決定後も継続する<投機的な円売り>に終止符は打てるのか【国際金融アナリストの見解】
(※画像はイメージです/PIXTA)

米ドル/円は、2022年10月と2023年11月に記録した「151.9円」に迫るなど、円安に振れています。構造的な円安ともいわれるこの相場ですが、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は、この円安相場に「終止符が打たれる」可能性を指摘します。足元の円安相場が反転するのはいったいどのようなケースか、詳しくみていきましょう。

今週の注目点…投機的円売りの継続とポジション調整の可能性

では、日米政策金利差が、最近と同じように「大幅な米ドル優位・円劣位」となっていた、2007年のケースを参考に考えてみましょう。

 

2007年のCFTC統計の投機筋の円売り越し(米ドル買い越し)の主なピークは、2月と6月の2回ありました(図表5参照)。

 

出所:
[図表5]CFTC統計の投機筋の円ポジション(2006~2007年) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

2回とも、円売り越しは15万枚を大きく上回っていました。この統計で、円売り越しが15万枚以上となったのは、確認できる限りではこの2007年だけ。以上を踏まえると、この2回の円売り越しピークアウトは、「行き過ぎ」懸念が強まったことが一因だったと考えられます。

 

また、この円売り越しの2回のピークは、米ドル/円のサイクル・トップ(循環的高値)ともおおむね一致していました。これは、米ドル高から米ドル安に転換したことにより、米ドル買い・円売りから米ドル売り・円買いに転換したこと、また、その逆の因果関係の両面があったと考えられます(図表6参照)。

 

出所:
[図表6]米ドル/円の推移(2006~2007年) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

またこの2回のピークアウトは、米金利のピークアウトのタイミングともある程度重なっていました(図表7参照)。

 

出所:
[図表7]米10年債利回りの推移(2007年) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

以上からすると、米ドル買い・円売りの「行き過ぎ」懸念が強くなってきたところで、「米金利上昇=米ドル高」に一巡感が出てきたため、ポジションの手仕舞いに動いたことが、大幅な金利差のなかで米ドル買い・円売りが一段落し、円高へと転換した背景だったと考えられます。

 

このように考えると、今回の場合も米ドル買い・円売りの「行き過ぎ」懸念、米金利の動向などを受けた米ドル高の一巡感などが、投機的な米ドル買い・円売りに“終止符を打つ”目安として、注目されることになりそうです。

 

米ドル/円は、151.9円の米ドル高値更新目前での推移が続いています。151.9円を上抜ける円安となれば、米ドル高・円安に弾みがつくでしょう。反対に、151.9円を上回る円安とならなければ、これまでの「米ドル買い・円売り」に大きく傾斜したポジションの調整が広がり、為替は円高方向に動くと考えます。加えて、日本企業の年度末でもあることから、円安が加速した場合であっても、輸入企業への悪影響への懸念から、通貨当局による「円安阻止介入」が実施される可能性があるでしょう。

 

以上のことから、今週の米ドル/円は円高方向を想定し、148.5~152.5円とします。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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