銀行・農協(JA)・証券会社等の名義変更に必要な書類一覧
これから、銀行・農協(JA)・証券会社等、金融機関の名義変更に必要な書類を紹介します。前項「どの手続きでも共通で必要な書類は3つ」で紹介した書類が含まれていても再掲します。ここで紹介する書類が用意できれば、多くの場合は問題ありません。しかし、遺産の内容や取引している金融機関によっては、追加で書類の提出を求められる場合もあります。
◆遺言書がある場合
遺言書がある場合の必要書類は次のとおりです。
・遺言書
・検認調書または検認済証明書(自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合のみ必要)
検認調書または検認済証明書は、遺言書が検認されていることを証明するものです。検認とは、その時点での遺言の内容を明確にして、遺言書の偽造や変造を防ぐための手続きです。遺言書が自筆証書遺言や秘密証書遺言である場合、家庭裁判所で遺言書の検認をしなければなりません。検認のためには遺言書のほか、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本などが必要です。遺言書が公正証書遺言の場合または自筆証書遺言でも法務局で保管されていた場合には、これらの検認調書または検認済証明書は必要ありません。
・被相続人の戸籍謄本
被相続人が死亡したことを確認します。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せていれば、それを提出します。
・預金を相続する人と遺言執行者の印鑑証明書
遺言では遺言執行者を定めますが、相続人以外の人が指定される場合があります。そのときは、遺言執行者の印鑑証明書も必要です。
・遺言執行者の選任審判書謄本
遺言で遺言執行者が定められておらず、裁判所で遺言執行者を定めた場合に必要です。
◆遺言書がない場合(遺産分割協議書がある場合)
遺言書がなく、相続人どうしで遺産分割について話し合って遺産分割協議書を作成した場合の必要書類は次のとおりです。
・遺産分割協議書
遺産分割協議書は、相続人全員で遺産分割について協議した結果を記録したものです。相続人全員の署名捺印が必要です。一緒に提出する印鑑証明書と照合するため、印鑑登録した印鑑で捺印します。円滑な手続きのために、遺産分割協議書には、誰が何を相続するかをできるだけ細かく記載しましょう。預貯金であれば、銀行名、支店名、預金種別、口座番号を記載し、その預金を誰が相続するかを記載します。
・相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書の捺印と照合して、遺産分割協議が成立していることを確認します。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の死亡の事実と、被相続人と相続人の関係を確認します。
・相続人全員の戸籍謄本
被相続人と相続人の関係を確認します。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本で内容が確認できれば、不要になる場合もあります。
◆遺言書がない場合(遺産分割協議書がない場合)
遺言書がなく、遺産分割協議をしていない場合の必要書類は次のとおりです。遺産分割協議書がない以外は、前項「言書がない場合(遺産分割協議書がある場合)」と同じです。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
◆家庭裁判所による調停調書・審判書がある場合
相続人どうしの話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所による調停や審判によって解決を図ります。家庭裁判所では、まず調停を申し立て、調停が成立しなかった場合に審判に移行します。家庭裁判所による調停や審判があった場合の必要書類は次のとおりです。
・調停調書謄本または審判書謄本
審判書に確定表示がない場合は、さらに審判確定証明書も必要となります。
・預金を相続する人の印鑑証明書