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相続が発生した後、一般的には法定相続人全員で「誰がどのくらい遺産相続するのか」を決める遺産分割協議を行い、全員が合意した遺産分割方法をまとめた「遺産分割協議書」を作成します。しかし遺産分割協議書を作成しようと考えても、作成経験がある人は稀で、書式・様式・書き方など分からないもの。そこで作成までの流れが作り方を解説していきます。

「遺産分割協議書」とは?作成が必要な人や提出先

遺産分割協議書とは、遺産分割協議によって法定相続人全員が合意した内容をまとめ、実印を押印することで法的効力を持つ書類です。この遺産分割協議とはいわゆる話し合いで、被相続人の遺産を「どのように分割」し「誰がどの財産を相続するのか」を具体的に決めます。遺産分割協議書を作成しておけば法定相続人の合意内容を明確にできるだけではなく、「言った言わない」といった後々のトラブルを避けることにも繋がります。

 

遺産分割協議書が必要か否かの判断ポイント

遺産分割協議書は、全ての相続において作成が必要となる書類ではありません。遺産分割協議書を作成する必要があるのは、具体的に以下のようなケースです。

 

遺産分割協議書が必要なケース

●遺言書がなく法定相続分とは異なる遺産分割をする場合

●遺言書に記載のない財産が発覚した場合

●遺言書が法的に無効になった場合

●遺言書通りに遺産分割をしない場合

 

逆に「遺言書の通りに遺産分割をする場合」や「法定相続人が1人の場合」などは、遺産の分割方法がすでに決まっているため、遺産分割協議書の作成は不要です。この他「遺言書がなく法定相続分で分割する場合」も、遺産分割協議書の作成は不要ですが、後日のトラブルを防ぐ意味合いで作成しておいた方が良いでしょう。

 

遺産分割協議書が必要な相続手続きと提出先

遺産分割協議書は、法定相続人全員の合意を明確にするだけではなく、以下のような相続手続きで提出を求められます。

 

【相続手続きと提出先】

●相続税の申告…税務署

●不動産の名義変更…法務局

●預金の名義変更や解約手続き…金融機関

●株式の名義変更や証券口座の解約手続き…証券会社

●自動車の名義変更…運輸支局

 

遺産分割協議書はいつまでに作成すべきか

遺産分割協議書は相続税の申告の際に提出が求められる書類で、遺産分割協議書がないと相続税の申告書類も作成できません。相続税の申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内」と決められているため、相続税の申告義務がある方は、遅くとも相続開始から7~8ヵ月前までには遺産分割協議書を作成できると良いでしょう。また、不動産以外の各種相続財産の名義変更は、現行の法律では期限は設けられていません。

 

ただし不動産の相続登記は2024年4月1日以降3年以内の申請が義務化されます。また、期限内でも相続登記をしないで放置すると売却できないというデメリットがあります。相続財産の内容に関わらず、早い段階で遺産分割協議書を作成し、各相続財産の名義変更を行いましょう。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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