今週の注目点…日銀会合、そしてFOMC
今週は、先進国と新興国とも金融政策決定会合が集中する予定となっています。そのなかでも特に注目を集め、相場が大きく動くきっかけになりえるのは、やはり火曜日の日銀、そして水曜日のFRB(米連邦準備制度理事会)の会合でしょう。
日銀は、今回の会合でマイナス金利解除など現在の大規模な金融緩和の見直しを行うとの見方が強くなっています。では、これを受けて「円金利上昇=円高」に動くかといえば、それは限定的でしょう。
私は、現在の米ドル/円を取り巻く状況は、大幅な金利差のなかで円売りが「バブル化」した2007年と似ていると考えています。
ところで、この2007年にかけて、日銀はゼロ金利解除、さらに追加利上げに動きましたが、そのなかでも米ドル高・円安の流れは変わりませんでした。これは、大幅な金利差のなかでは、日銀の政策変更が為替に与える影響が限定的であることを示しています。
そんな2007年にかけてと最近の米ドル/円を取り巻く状況は、大幅な金利差が象徴的なように似ていると思います。その意味では、今回も日銀マイナス金利解除の円金利上昇、円高への影響はやはり限定的でしょう。
次に水曜日予定のFRBの会合、FOMC(米連邦公開市場委員会)について考えてみます。FOMCは、2回に1回、メンバーの経済見通し、「ドット・チャート」を公表しますが、今回はそのタイミングになります。
そこで、前回の「ドット・チャート」で2024年中に3回の利下げ見通しとなっていたところから、足元までの経済状況の変化をみていきましょう。
まず、景気は予想以上に底固く推移しています。また、株価も最高値圏での推移が続き、さらにインフレ懸念も微妙に再燃の兆しが出てきています。これらの状況から、この利下げ見通しを2回以下に下方修正する可能性が注目されています。
もしも実際に利下げ見通しが下方修正されたら「米金利上昇=米ドル高」を試す可能性があります。
とはいえ、米ドル/円は5年MAかい離率でみると、すでに循環的な高値圏に達しています(図表4参照)。
また、CFTC統計の投機筋の円ポジションは、一時に比べて米ドル買い・円売り「行き過ぎ」が修正されたものの、先週の段階で円売り越しが10万枚程度となっており、なお米ドル買い・円売りの「行き過ぎ」圏にあります。
以上のように見ると、米ドル高・円安トライとなった場合でも、その動きには自ずと限界があり、年初来の米ドル高・円安を更新するのは難しいでしょう。
以上を踏まえて、今週の米ドル/円の予想レンジは148~151円中心で想定します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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