仕事・子育て両方の役割を全力で担うことが求められる女性
日本の子育てにおいて、歴史的な観点から見ると、長いあいだ女性が子育ての主体とされてきました。
江戸時代まで遡ると、日本の社会は封建制度が根付いており、男女の社会的な役割が厳格に分かれていました。女性は主に家庭での仕事や子育てに従事し、男性は仕事や社会的な活動に専念することが当たり前。
西洋の価値観や制度が導入された明治時代以降も、女性が主に家庭において家族を支える役割は続き、とくに戦後の日本は男女の社会的な役割分担が厳格で、男性が外で働き、女性は家庭を守る、子育ての多くは母親が担うのが当たり前でした。
近年は少子高齢化に向かう世の中での労働力確保の必要性、ジェンダー平等、多様性の尊重といった背景から、女性の社会進出が進んでいます。
それは喜ばしいことではありますが、いまだに「子育ては母親」という役割意識も一部で残るなか、女性は仕事・子育て両方の役割を全力で担うことが求められている状態が続いています。仕事上では男性・女性関係なく、ミッションが与えられる。そのための制度も充実してきました。
しかし、いつ何時、病気などで親の助けが必要になるかわからない子どもを育てながら働くことは、どのような制度があってもなかなかうまくいかないものなのです。
夫婦で子育てを「協力」し合う生き方
他国に比べてジェンダー平等の意識が低い日本ですが、「父親が子育てをするのは当たり前」「子育てを楽しみたい」と考える父親も増えてきました。
なかなか進まなかった男性の育休取得はここ4〜5年で急上昇。もちろん企業規模や業種によっても差があり、取得期間は女性と比べものにならないくらいの短期間取得が主流ではあるものの、「子育てをしたい」と考える父親が増えている流れはたしかなことでしょう。
これからは子育ての主体が母親だけではなく、父親と母親が協力し合うことで、共に子育てに責任をもち、楽しみ、そしてそれぞれが目指したいキャリアを実現する。そのような生き方を目指したいものです。
産後しばらくは母親の体の回復も必要ですし、母乳で子育てをする場合もあるでしょうから、女性が子育てに専念することが多いでしょう。
育休が終了したあとも母親が子育てに軸足を置きたい、ということもあるでしょう。そのときは父親が家計を支える。父親が次のステップへ向けて学び直しをしたい、子育てに軸足を置きたい、というときは母親が家計を支える。
このようにして父親と母親が支え合い、役割を交代しながら、仕事も、子育ても、学びも、それぞれがやりたいことを実現しながら、我が家らしい幸せをつくっていく。そのような父親と母親の関係性があれば、男性・女性に関係なく、誰もが「なりたい自分」「描きたいキャリア」を実現できるのではないでしょうか。
父親と母親が支え合い、お互いの生き方を応援しながら、我が家の幸せを守っていく。平日の昼間に子連れランチを楽しんだり、児童館や公園で子どもを遊ばせたり、授業参観に来るのは母親が多いですが、これからは父親も母親も子連れの楽しみが味わえる時代が来るといいなと思います。
子育ての世界に父親がどんどん入っていくことで、親同士の話題が広がり、子育てに対する視野が広がり、悩みも解決しやすくなるかもしれません。子どもとの遊び方もバリエーションが増え、子どもにとってもよい環境となるでしょう。
役割を交代しながら、支え合う。まだ一般的ではない考え方ですが、誰の目を気にする必要もありません。自分の幸せのために、大切な家族の幸せのために、役割意識にとらわれず、パートナー同士で支え合うことで、それぞれが自分らしいキャリアを実現できます。
そのような生き方を、あなたからはじめてみてもよいのではないでしょうか。
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