(※写真はイメージです/PIXTA)

返済比率の関係上、長期融資の選択をすることが多い不動産投資では、融資期間の設定や返済方法などで悩む人が少なくありません。不動産投資歴15年、家賃収入3億円超えの実績を誇る名取幸二氏と、一般社団法人マネー総合研究所所長の杉田卓哉氏は「住宅ローンと不動産投資で使う融資とは、まったく考え方を変えるべき」と言います。名取氏と杉田氏の共著『不動産投資 絶対にやってはいけない39の落とし穴』より、詳しくみていきましょう。

住宅ローンと不動産投資の融資は別物

よく出回っている情報に「ローンは繰り上げ返済をして早く返す」「定年退職までには完済」「利息がもったいない」などがあります。

 

とくに家計相談に乗っているようなファイナンシャルプランナーには「フルローンで物件を買うのは危険。できるだけ自己資金を入れて物件を購入したほうが安全」と考える人が多いようです。

 

ここは住宅ローンと不動産投資で使う融資とは、まったく考え方を変えるべきです。

 

頭金を入れることで、手元のキャッシュを減らすほうがリスクは高くなるのです。それは繰り上げ返済についても基本的に同じ考え方です。繰り上げ返済する場合は返済期間を短くしてもらうか、毎月の返済額を減らしてもらうかのどちらかです。

 

「利息がもったいない!」と考える人は、返済期間を短くしたがります。しかし、多額の現金を減らしてまで返済期間を短くしてもらい、早く返済する必要はないですし、キャッシュが回っているのなら、毎月の返済額を減らす必要はありません。

 

これは前述の、長期融資を引くメリットと逆の行動になります。ただ、理由があって毎月のキャッシュフローが思うように得られていない、戦略的に残債を減らしたい場合は繰り上げ返済してもよいでしょう。

 

加えて繰り上げ返済を行う際は、手数料が発生する場合もあります。手数料は返済金額や銀行によって異なりますが、いずれにせよ追加の費用が発生すればキャッシュがさらに減ってしまうことになります。

キャッシュはできるだけ多く手元に

融資返済の当初の段階では、繰り上げ返済や金利交渉、借り換えをするべきではありません。それよりも銀行と良好な関係を保つことに注力すべきです。

 

不動産投資に限らず、事業ではキャッシュを手元に置いておくのが基本です。会社が倒産してしまう原因のひとつは資金繰りの悪化です。とくに不動産投資では手元にキャッシュを残しておかないと、急に大きな修繕が入れば一気にお金がなくなります

 

これを回避するためには、しっかりと手元にキャッシュを置いておくことが必要です。それには現金化するまでに時間がかかる株や有価証券ではなく、ある程度のキャッシュが手元にあることが必要です。

 

ベテラン個人事業主になると、支払いは期限ギリギリまで待ちます。逆に、自分がもらうときは一番早く受け取るそうです。これが少しでもキャッシュの残る作戦です。

 

 

名取 幸二

株式会社ペスカトーレ

代表取締役

 

杉田 卓哉

一般社団法人マネー総合研究所

所長

 

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※本連載は名取幸二氏、杉田卓哉氏による著書『不動産投資 絶対にやってはいけない39の落とし穴』(マネジメント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

不動産投資 絶対にやってはいけない39の落とし穴

不動産投資 絶対にやってはいけない39の落とし穴

名取 幸二、杉田 卓哉

マネジメント社

「不労所得でラクラク大儲け」「銀行融資が受けられる=安全な物件」「ボロ戸建て投資で高利回りを目指す」これ全部、嘘なんです……。不動産投資歴15年のレジェンドが、不動産投資でよくある“甘い話”の真実を暴露。落とし穴…

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