(※写真はイメージです/PIXTA)

※本記事は、東洋証券株式会社の中国株レポートから転載したものです。

23年の成長目標は達成したが…中国景気「停滞感」強く

23年のGDP成長率は+5.4%と、2年ぶりに高い成長率となり、5%前後とする政府の成長目標を達成したと見込む。とはいえ、22年はゼロコロナ政策やコロナの感染拡大で、3.0%と低い成長率に留まったため、前年比効果の恩恵は少なくなかったとみられる。

 

[図表1]在庫評価額の推移
[図表1]在庫評価額の推移

 

中国は23年年央に在庫調整が終了し、短期の景気サイクルでは景気拡大局面に入ってもいいとみられる。

 

それにもかかわらず中国景気に停滞感が強かった背景としては、経済への影響が大きい新築住宅販売が不振を続けたことに加え、不動産投資の減少を受けて財政収入の4分の1を占める土地使用権販売が減少を続けたことにより、インフラ投資等の景気刺激策が十分に打てなかったことなどが挙げられよう。

 

また、米国と中国との対立やコロナ禍を契機とした外資系企業の国際的なサプライチェーンの分散化等が中国の輸出を押し下げたと考える。

 

昨年の新築住宅販売件数は“2021年の半分”に落ち込む

[図表2]新築住宅販売件数の推移
[図表2]新築住宅販売件数の推移

 

新築住宅販売件数は拡大を続けていたが、21年に1,369万件でピークをつけ、22年は前年比27%減、23年は同15%減となり、ピークから2年間で約4割減になったとみられる。

 

中国では建設前に販売する予約販売が主流だが、不動産会社が資金繰りに窮し、新築住宅の建設や引き渡しが遅れており、潜在購買者はそれを懸念し購入を控えているようだ。

 

政府や金融当局は22年後半以降、住宅販売促進のため、頭金比率の引き下げ等の住宅取引規制の緩和や住宅ローン金利の引き下げに努めている。住宅ローンの平均金利は22年1~3月から約1.5%pt低下し23年7~9月は4.02%となり、住宅購入コストは大幅に低減した。インフレが落ち着いていることから、24年もさらなる利下げが見込まれる。

 

不動産会社はすでに手ごたえを感じているのか、足元で住宅着工を拡大しつつある。住宅販売は24年半ばにも持ち直しが顕在化してこよう。

 

資産を「守る」「増やす」「次世代に引き継ぐ」
ために必要な「学び」をご提供 >>カメハメハ倶楽部

次ページ2024年の中国は「産業政策」重視へ

【免責事項等】文中の見解はすべて筆者の個人的意見です。写真、グラフ、表などもすべて筆者によるものです。
※本記事は、東洋証券株式会社の中国株コラムから転載したものです。
この資料は、東洋証券株式会社が信頼できると思われる各種のデータに基づき投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成したもので、投資勧誘を目的としたものではありません。また、この資料に記載された情報の正確性および完全性を保証するものでもありません。また、将来の運用成果等を保証するものでもありません。この資料に記載された意見や予測は、資料作成時点のものであり、予告なしに変更することがありますのでご注意ください。
この資料に基づき投資を行った結果、お客様に何らかの損害が発生した場合でも、東洋証券株式会社は、理由の如何を問わず、一切責任を負いません。株価の変動や、発行会社の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込むことがありますので、投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなされるようお願い致します。
この資料の著作権は東洋証券株式会社に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願い致します。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録