新米パパが苦笑い…中国で問題視される「育児コスト」上昇
「責任感より不安感のほうが大きいですね」――。浙江省の中規模都市に住む新米パパが苦笑しながら語ってくれた。
地元出身の男性31歳。同年代の女性と昨年お見合い結婚し、今年2月に第一子が生まれたばかり。先日、出産祝いに行ったところ、思わぬ苦悩の声を聞いた。
中国では近年、育児コストの高さが問題視されている。「中国生育成本報告2024版」によると、中国の0~17歳まで(満18歳までと同義)の育児コストは平均53万8,312元(約1,130万円)。1人当たり国内総生産(GDP)の6.3倍に達する。豪州の2.08倍、フランスの2.24倍、米国の4.11倍、日本の4.26倍などを大きく上回り、ほぼ世界最高水準だ。
中国の育児コストは地域により大きく異なる。上海市は101万130元(約2,121万円)、北京市は93万6,375元(約1,966万円)など都市部で高い傾向にあるが、青海省は37万8,670元(約795万円)、チベット自治区は34万8,505元(約731万円)にとどまる。教育レベルや生活環境などの差が背景にあるようだ。
子が18歳になるまで、「月収の約4割」が育児費用に
数字の話ばかりで恐縮だが、冒頭の知人が住む浙江省の育児コストは85万4,942元(約1,795万円)で、上海、北京に次ぐ全国第3位。これは大きな家計負担だ。
彼は「専科(2~3年の短期大学)卒だから、高給取りにはなれない」と嘆く。数ヵ月後に復職予定の奥さん分と合わせると、世帯所得は1万元程度らしい。
昇給や物価変動などを考慮せずに単純計算すると、子どもが18歳になるまで月収の約4割が育児向けに費やされる。
幸運なことは、彼ら夫妻が住む2LDKのマンションは親から譲り受けたもので、住宅ローンの心配がないこと。マイカーも買ってもらったもの。それでも生活に余裕があるわけではないという。