(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資において欠かせない「修繕」ですが、リフォーム会社選びを誤ってしまうと思わぬトラブルにつながりかねません。“付き合ってはいけない業者”を見極めるには、どのような点から判断すればよいのでしょうか。リフォーム投資のプロである株式会社ピカいちの代表取締役・柳田将禎氏が、リフォーム会社の選び方について事例とともに解説します。

 

工務店によって「リスクの考え方」は大きく異なる

⑤建設業の許認可がない

建設業務の許認可を得ているかどうかも重要なポイントです。一般的に建設業許可がなくても、請負金額500万円未満(消費税込)の工事であれば施工することができます。それ以上の工事になると許可が必要です。

 

建設業許可を取るには次の5つの条件があります。

 

1.経営業務の管理責任者がいる

 

2.専任の技術者がいる

 

3.請負契約に関して誠実性がある

 

4.財産的基礎、金銭的信用がある

 

5.許可を受けようとする者が、一定の欠格要件に該当しない

 

これらの要件を満たしていなければ許可がとれないので、逆にいえば許可がないということは、これらの要件を満たしていない業者となり、信頼性に欠ける可能性があります。

 

⑥職人のマナーの悪い会社

これは発注して工事がはじまってからわかることです。

 

工事現場によっては職人さんが路上でタバコを吸う、ヘルメットを被らない、ゴミが放置されたままなどマナーが守れていないことがあります。

 

それはそもそも施工管理する会社が現場教育を疎かにしているケースが大半です。

 

しっかりした会社はタバコを吸う場所を決めて、それ以外の場所で吸った場合の罰金や、ゴミの放置の罰金を設けて職人を管理したり「ヘルメットを被らない状態で事故が起きてケガをしても自身の責任になります」という誓約書を交わすなど工夫をしています。

 

こうしたことを徹底して本人に自覚を持たせるとともに、工事現場のマナーや安全を向上させていく結果につながります。また、万が一にも訴訟トラブルが起こった際のリスクを軽減できます。

 

同じように見える工務店でも、意識の違いに大きな差があります。いわゆる「一人親方」のような会社は前述した保険に加入せず、ひどい場合は労災にも加入していません。全責任を一個人が負うことになっているのです。

 

このように工務店によってリスクの考え方は大きく異なります。一方、ハウスメーカー的な工務店だと、逆に管理が厳しすぎて、職人さんに対する自由度が低く、その分コストが多くかかってしまうこともあります。

疑心暗鬼になり、断られるケースも

このように付き合ってはいけない業者さんもいるのですが、大家さん自身に問題のあるケースも散見されます。

 

大家さんのなかには、「だまされてはいけない」と強く思い過ぎて、工事内容や段取りについて知識がないにもかかわらず、業者へ過剰に質問してしまい、嫌がられるケースもあります。本当は良心的な業者なのに、大家さん側のアプローチが悪かったため、断られていることもあるのです。

 

良心的な業者というのは仕事に困っていないわけですから、面倒なお客さんが来たら「では結構です」という対応をするものです。逆にしつこく食い下がる業者のほうが、実は仕事がないという可能性もあります。

 

不動産投資では、融資、税など知識や経験を積まないと乗り越えられない壁がいくつかありますが、最後の壁となるのは「修繕」だといえます。いくら高利回り物件を購入できても、修繕がかかってしまえば収益は落ちてしまいます。

 

にもかかわらず、多くの人は修繕を軽視しているように感じます。たしかに購入してしばらくは問題が表面化しにくいので、その気持ちもわからなくはないです。

 

しかし、修繕に関する知識を持たないと、知らないうちに余計なお金を取られ、収益はどんどん悪化していきます。価格についてはブラックボックス化しているところもあるので、しっかり知識武装する必要があるのです。

 

そういう意味で、不動産投資で真に成功している人は、「修繕」を制しているともいえるでしょう。

 

 

柳田 将禎

株式会社ピカいち

代表取締役

 

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※本連載は柳田 将禎氏による著書『ピカいちのリフォーム投資 改訂版』(プラチナ社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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