大家自身が部材を手配する「施主支給」は要注意0
セルフリフォームの他にもやってはいけないリフォームがあります。それは「施主支給」と「分離発注」です。ご存知ない方に向けて用語の解説と、なぜやってはいけないのかを説明しましょう。
「施主支給」のメリット・デメリット
リフォームの種類に「施主支給」というものがあります。これは、大家さん自らがインターネットやホームセンターなどで部材の手配をして、職人さんに取り付けの工事だけ依頼するものです。
メーカー製設備の型落ち品をオークションで購入する、外国製の安価な設備をネット通販購入するなど、大家さん自らが格安な部材を用意することでコストダウンができるとあって人気を集めています。
「施主支給」ではコストが安くなるというメリットがある一方で、部材の購入という手間がかかるというデメリットもあります。また、現地調査を行ってしっかり下調べをすることが重要です。
また、モニター付きインターフォンなどの部材は、たしかにネットで買ったほうが安く済みますが、それはあくまで1つ、2つといった少ない単位で購入したときの話です。これが、10個、20個など施工業者が大量に購入するものであれば割引がきくため、「施主支給」のほうが高くつくケースもあるので注意が必要です。
そもそも業者としては部材の仕入れから工事までを仕事と考えているので、施主支給はよく思われないケースも多々あります。
■手配ミスによるトラブル
施主支給において、ありがちなトラブルには「手配ミス」があります。
たとえばキッチンならサイズはもちろんのこと、水道管の位置、取付けに必要な部品などを把握したうえで部材を発注しないと、そもそも取り付けられません。
事例としては、換気扇を施主支給で取り付けてもらおうとしたら、サイズを間違えて取り付けられなかった……ということはよくありがちです。その場合は、換気扇の返品交換後に再度取付するため、職人さんの手間が増え、工期が伸びてしまいます。
そもそも換気扇自体はものによって、数千円で売られているものですが、取り付けのために再度職人を手配する結果になれば、最初から工事と合わせて部材も発注したほうがリーズナブルに行えたでしょう。目先の数千円を惜しむあまり、結果的に余計な出費がかかるケースです。
■安価な海外製品でのトラブル
海外の低価格の家具や生産国が不明な家電は、金具が合わないなどの手間がかかる可能性があるため、一般の業者には嫌がられる傾向があります。たとえ安く部材を仕入れても、結果として高くなることは珍しくないのです。
キッチンの場合、見本の写真には付属品がついているのに、実際には足りない部品があったがゆえに工事が進まないケースです。中国系のサイトでは商品そのものが到着しないなどといった詐欺のリスクもあります。値段の安さだけを重視すると、トラブルに巻き込まれる可能性が高まるので注意が必要です。
また、一般的に施工業者は国内メーカーのもので、自社が仕入れたものでなければ施工保証をしてくれません。たとえば、新調したキッチンから水が漏れたとしても、その責任は取り付け側なのか商品なのかが判断できないからです。
特に水回りに関しては、メーカー側と取り付けた業者側とで責任の押し付け合いをすることが少なくありません。
■部材の受け渡しのトラブル
くわえて、これは施主支給の意外なデメリットですが、部材の受け取りが難しいという側面があります。工事中で職人がいれば、宅配が届いたときに受け取ってもらえますが、そもそもこれをやると職人の手が止まり、仕事が進まなくなるので嫌がられるケースもあります。
厳密に言うと荷受けまでが部材支給の仕事です。現場に人が不在の場合、宅配業者が商品を持ち帰ってしまうこともあり得ます。よくある失敗事例としては、「〇日に職人さんが作業するから〇日の午前中に荷物が届くように指定したものの、職人さんが到着する前に宅配が届き持ち帰られてしまった」。または、「午前中の配達が遅配となって届いたのが午後になってしまった」。そんなことはわりとよくあります。
もし職人さんが現場に行くときに商品が届いていないと、職人さんの仕事がないわけですが、そうなった場合でも職人さんの人件費は発生します。もちろん、日程を改めてまた来てもらったとしても料金は発生します。理由はその職人の仕事を止めた原因が、部材の段取りミスであるからです。
つまり、商品の注文から発送・到着まですべて予定どおり進むのであれば問題ないのですが、一つでも想定外のことがあると、普通に業者に頼んでいたほうが安かったという結果になりかねないのです。
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