(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資において欠かせない「修繕」ですが、リフォーム会社選びを誤ってしまうと思わぬトラブルにつながりかねません。“付き合ってはいけない業者”を見極めるには、どのような点から判断すればよいのでしょうか。リフォーム投資のプロである株式会社ピカいちの代表取締役・柳田将禎氏が、リフォーム会社の選び方について事例とともに解説します。

 

まだまだある…こんなリフォーム業者は危ない!

④保険加入していない

まず最低限、保険に加入しているかをチェックしましょう。

 

建設現場では、従業員・職人さん・下請作業員・現場警備員など現場で働く人がおり、その建物周辺などに第三者も行き交うことがあります。また、建設中の建物・資材についても大切な財産として、取り扱わなくてはなりません。

 

しかしながら、建設現場ではさまざまな危険と隣り合わせになることが多く、そのリスクに備え常に万全の対策を練る必要があります。工事中の事故による損害の補償は、その会社の補償能力の範囲内でしかなされません。

 

前述したように職人さん自身がケガをしてしまった、ケガをさせてしまった。もしくは物件を壊してしまったなど、万が一のトラブルが起こった際、職人さん一人で責任を取ることはできません。通常しっかりした工務店であれば、保険に加入してトラブルに備えています。

 

具体的には工事総合保障保険といい、損害賠償の補てんだけでなく、事故後の早期解決に必要な調査や対応のバックアップが付帯しています。なお実際に工事保険加入しているかどうかは、ヒアリングするしか方法はありません。

 

以下に建築事業者向けの保険の基本的な補償内容を紹介します。

 

出所:『ピカいちのリフォーム投資 改訂版』(プラチナ社)より抜粋
[図表1]建築事業基本特約付事業総合保険の基本保障 出所:『ピカいちのリフォーム投資 改訂版』(プラチナ社)より抜粋

 

工事以外の遅延損害や使用不能賠償も対応でき、幅広く補償範囲がカバーされ万が一の事故による損害もカバーできます。

 

参考までに保険に加入していない会社、している会社でどのような違いがあるのか、表にまとめましたのでご確認ください。

 

出所:『ピカいちのリフォーム投資 改訂版』(プラチナ社)より抜粋
[図表2]保険加入の有無による違い 出所:『ピカいちのリフォーム投資 改訂版』(プラチナ社)より抜粋

 

これだけみても、保険に加入していない建設会社に、どれほどのリスクが潜んでいるか、理解いただけたかと思います。そしてこの業者Aが、賠償ができず倒産や破産となった場合、被害者である投資家にとって最悪な結末となることは言うまでもありません。

 

また、保険の支払いには規定がありますので注意が必要です。ここでは、いくつかの事例を交えてご紹介したいと思います。

 

事例1.DIY大家さんの事故

前述したようなセルフリフォームを行うDIY大家さんがいました。具体的には塗装は自分で行い、大工工事を業者に発注しました。大工さんが電動工具を使用したところ、火花が散りDIY大家さんが用意していた塗料に引火。ボヤになり建物の一部が汚損されました。

 

そこでDIY大家さんは、大工工事を請け負った業者に対し損害賠償請求をしたところ、業者から火花が起きることは通常施工の範囲であり、なんと「事故原因は塗料を置いたままにしたDIY大家にある」との回答がありました。

 

最悪の場合、DIY大家さんに過失があるとして、建設会社から損害賠償請求される場合があります。このケースではそもそも業者の非が認められたとしても、保険金支払いの規定から対象にはならなかったようです。

 

保険金支払いの対象にならない理由として、保険加入をしている業者の物ではない資材への引火が原因での事故であったことです。「作業中に起こした事故については、賠償責任は問われない」と民法上規定がありますが、加害を防止する措置を怠り、具体的な指示を与えなかった場合は、DIY大家さんに過失があるものとして賠償責任を求められることがあります。ここでもDIYによるリスクが見受けられました。

 

事例2.施主支給部材による事故

施主支給とは、本来であれば工事業者が手配する部材を、大家さんが自身で手配することでコストダウンを行う方法です。今はホームセンターやインターネット通販で何でもそろっていますから、住宅設備のような特殊なものであっても、大家さん自身で手配することは難しくありません。

 

トラブル事例の紹介をしましたが、施主支給では施工後に製品の不備が見つかった際に、販売業者の責任か、施工業者の責任なのかはっきりしないケースが多いです。

 

施主支給での注意事項はいくつかありますが、事故につながりやすいトラブルといえば、購入した商品が思っていたより重量があったため、搬入のための人数が必要になる、または建物の上階にクレーンで積み込む必要が生じたという事例もあります。

 

そして搬入中に壁にぶつけて穴が開いてしまった場合(建物の破損)、これもまた搬入する業者が保険加入していても、仕様部材がその業者指定のものでなければ、保険適用外となるリスクがあります。

 

事例3.分離発注(他社と同時進行)による工事中の事故

分離発注は、従来であれば工事の現場監督が必要なところ、それを大家さん自身が行い、各工事業者を直接発注して工事費用を安くする方法です。トラブルについては、これが「ミスが起きて工期が伸びた」「工事費用が割高になってしまった」という程度であればまだしも、大きな事故やトラブルにつながるリスクもあります。

 

これは知人大家さんの話ですが、雨漏りの修繕をしたはずなのに、屋根と外壁の継ぎ目部分から雨漏りが起きました。同じ業者が工事している、もしくは元請けと下請けという形で工事全体を管理している業者がいれば、責任の所在ははっきりしています。しかし、分離発注で、屋根と外壁の発注先が違った場合、どちらの責任でどちらが補償するかという問題で、責任の押し付け合いになる可能性が非常に高いです。

 

さらにリスクをいえば、このケースで屋根の工事業者が保険加入しており、外壁業者が保険加入していないとしても、複数業者が現場に入っているため、屋根業者の保険までもが適用外になってしまう恐れがあります。

 

というのも工事保険は「工事そのもの」を対象とした保険ではなく、請負業者の工事中の不備を対象とした保険といえます。そのため元請業者がいて工事を統轄する前提で作られており、分離発注(他社と同時進行の工事)には対応していないのです。

 

どうしても分離発注方式で工事を進めたい場合には、それぞれの工事業者が個別に、この保険加入していれば問題はありません。しかし、保険加入には費用がかかりますから、格安で請け負うような下請業者が保険加入しているケースは稀です。

 

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※本連載は柳田 将禎氏による著書『ピカいちのリフォーム投資 改訂版』(プラチナ社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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