(※写真はイメージです/PIXTA)

リフォームを行う際、「なるべくお金をかけたくない」と考え、コストを抑えるためにさまざまな手段を講じるケースは少なくありません。しかし、そうした手段を選択した結果、「多くの時間とコストを費やしてしまう人が実は多い」と、リフォーム投資のプロである株式会社ピカいちの代表取締役・柳田将禎氏は言います。柳田氏の著書『ピカいちのリフォーム投資』より、やってはいけないリフォーム方法とその理由について見ていきましょう。

投資家自身が現場監督となる「分離発注」

分離発注は、自分が施工管理する担当となって、たとえば大工工事と水道工事を別々の業者に発注することを指します。

 

一般的に工務店には、現場監督としてスケジュールや人材を調整する人がいて、それ以外には各施工のスペシャリストがいます。

 

分離発注を行う場合は現場監督を投資家自身で行い、実際の工事はプロに依頼するイメージです。本来であれば一つの工務店に頼むところを個別で業種ごとに発注するので、現場監督分のコストを抑えることができます。

 

ただ残念なのは、現場監督がやらなければならないことを理解しないまま分離発注する人が多くいます。そうした人たちは、曖昧な指示を繰り返して現場を混乱させてしまうことが往々にして起こりますから、良い結果にはなりません。

 

■キッチン設置のトラブル

キッチンを設置するとき、大工さんと水道屋さんに手配したとします。このとき、事前に水道屋さんが給排水をキッチンの合うところに移設させなければなりません。そして、その給排水のある場所で、大工さんはキッチンを組み立てて設置します。

 

しかし分離発注では、水道屋さんに「水道をつなげてください」と伝え、大工さんには「キッチンを組み立ててください」と伝えるわけですが、先にキッチンが設置されてしまっていた場合、水道屋さんはその仕事ができなくなってしまいます。

 

つまり本来は、最初に給排水を準備してからキッチンを設置しなければならないのに、準備なしでキッチンを置いてしまうと、後から水道屋さんに依頼しても難しく、トラブルにつながる恐れもあるのです。

 

■内装のトラブル

また、内装に関していうと、「どこまでをどの業者が行うのか」をしっかり采配する必要があります。たとえば、壁紙とフローリングの間にある「巾木」は、クロスを張る内装屋さんで「ソフト巾木」を施工するケース、大工さんに「木製巾木」を施工するケースの両方があります。

 

このリフォームにおける「どこをどう分担するか」を事前に考えておかなければ、必要な工事ができていなかったり、逆に同じ工事内容を重複して発注してしまったり、二重に金額がかかってしまう結果となりかねません。

 

私からみると、業者がどこまで作業できるのかを十分把握しないまま分離発注しているケースが多いように感じます。

 

よくあるミスでいえば、内装屋さんには壁紙は頼めても、フローリングの張り替えまでお願いできる場合は少ないです。フローリングの張り替えは大工さんが行うからです。

 

たとえば、内装屋さんにクロスの張り替えを発注しており、そのソフト巾木の施工までが込みになっていたとします。しかしフローリングの張り替えを発注した大工さんも木製巾木の設置が込みになっていました。

 

すると、巾木の施工が二重で発注されており、この見積りで依頼してしまえば、両方に対して支払いが発生する可能性もあります。

 

逆に、どちらの業者も巾木の施工を行わないケースもあり、工事が足りない場合は追加工事として、もう一度業者を稼働させなくてはいけません。もちろん、そこにも料金が発生します。ですから、工事の内容はすべてきちんと把握しなくてはならないのです。

 

■エアコン設置のトラブル

これは、エアコン交換とクロス張り替えを同じタイミングで行った際に起こりがちなトラブル事例です。前提としてクロス交換を業者に発注して、エアコンは家電量販店で購入して設置を依頼したとします。

 

まず、内装業者がやってきてクロスを先に張り替えました。その際に、エアコンを取り付けたまま張り替えます。なお、このときに取り付けられているエアコンは昔の機種でサイズが大きいものでした。

 

家電量販店と契約しているエアコンの取付業者が古い大きなエアコンから、最新のスマートなタイプのエアコンに交換します。するとエアコンの後ろにあったクロスを張り替えていない部分が出てきてしまいました。

 

こうしたトラブルはスイッチコンセントの交換時にも起こりがちです。業者によってはクロスを張り替える際に、一度スイッチコンセントを外して付け直しますが、なかにはスイッチコンセントを外さずにクロスを張る業者もいます。

 

そして後からサイズの小さなスイッチコンセントを交換したところ、昔のクロスが見えている状態になったという失敗もあります。

 

前提として、工事には段取りがあります。エアコンの交換とクロスを張り替えるのは別工事でありながら、同じ部屋で行う工事です。本来であれば、エアコンを外したところでクロス屋さんを呼ぶのが正しいのです。

 

ただし、エアコンの取付業者からすると二度手間になるので、2回にわけて行うことはまずありません。しかし、リフォーム業者の手配であれば、それは可能です。なぜなら自社でエアコン取付けもクロス張り替えもできるからです。電気工事を担当する職人が常にいろんな現場をまわっていますから、そこで2回にわけて取外し、取付けという作業ができます。

 

こうした段取りは一般の投資家では難しいでしょう。その結果、工事の収まりが悪くなっている物件をよく見かけます。また、それは自分のせいなのに、それがわかっていない投資家も多いです。

 

たしかに壁紙を張り替える、コンセントを付け替えるなど一つひとつの作業を依頼することは難しくないように感じるかもしれませんが、誰かに依頼する以上、そこまでスムーズにはいきません。

 

不動産投資関連の書籍には、非常に安い価格でリフォームした事例が載っていることがあります。それを参考に、実際に見積りを出したら高い価格を提示されてしまい、何社も何社も理想的な価格を追い求めて見積りを依頼する人がいます。

 

しかし、こうした人の場合、ようやく安いところを見つけても、いざ作業が終わったら追加請求がきて、他の業者よりも高くついたという残念な結果に陥るパターンが珍しくありません。そして結局のところ、最初に見つけた業者が安かった……ということもあります。

 

このように、相見積りをとって交渉するという過程で多くの時間を費やしてしまう人が実は多いものなのです。

 

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※本連載は柳田 将禎氏による著書『ピカいちのリフォーム投資 改訂版』(プラチナ社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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