盛り場には「モボ」「モガ」が出現
大正~昭和初期の文化は、都市市民が担い手の大衆文化が中心でした。
●教育:〔原敬内閣〕は大学令(1918)で私立大学を認可して、技術者・事務職の養成という産業界の要望に応え、高等教育機関への進学が増加しました。
●学問・思想:人文・社会科学では、哲学の西田幾多郎、歴史学の津田左右吉(日本古代史)、民俗学の柳田国男が登場し、労働者階級の解放を説くマルクス主義が影響力を持ちました(河上肇『貧乏物語』)。
自然科学では本多光太郎(KS磁石鋼)や野口英世(黄熱病)が活躍し、理化学研究所が設立されました。一方、国家主義では北一輝が天皇を中核とする変革を唱えました。
●出版・文学:新聞・雑誌の発行部数が伸びてマス=メディアが発達しました。雑誌『東洋経済新報』で活躍した石橋湛山は植民地・権益を放棄する「小日本主義」を主張しました。また、大衆雑誌『キング』・児童雑誌『赤い鳥』(鈴木三重吉)や1冊1円の円本が登場し、活字文化が大衆化しました。
文学では、人道主義的な白樺派(武者小路実篤・志賀直哉)、美を追究する耽美派(谷崎潤一郎・永井荷風)、理知主義的な新思潮派(芥川龍之介・菊池寛)、人間感覚に根ざす新感覚派(横光利一・川端康成)が登場しました。
また、娯楽的な大衆小説(中里介山の時代小説『大菩薩峠』)が人気を呼び、労働者階級を描くプロレタリア文学(小林多喜二『蟹工船』)も興りました。
●芸術:演劇では、島村抱月が松井須磨子こと芸術座を結成し、小山内薫は築地小劇場を開きました。
美術では、洋画団体の二科会(梅原龍三郎・安井曽太郎)や春陽会(岸田劉生『麗子像』)に加え、日本美術院が横山大観らによって再興され、雑誌の挿し絵の美人画を描く竹久夢二も活躍しました。
●生活:都市では俸給生活者が増え(新中間層)、女性の社会進出も進みました(職業婦人)。大都市には鉄筋コンクリート造のビルディングが建ち、私鉄がターミナルデパートを経営し、東京・大阪では地下鉄も開通しました。
生活では、盛り場に洋装のモボ(モダンボーイ)・モガ(モダンガール)が出現し、郊外電車の沿線に和洋折衷の文化住宅が建てられ(一般家庭に電灯が普及)、百貨店のレストランでトンカツやカレーライスが提供されました。
娯楽では、無声映画(活動写真、弁士が解説)が音声入りのトーキーに発展しました。興行では、阪神急行電鉄社長の小林一三が設立した宝塚少女歌劇団が注目されます。ラジオ放送が開始され(1925)、日本放送協会の全国中等学校優勝野球大会(のち高校野球)の実況などが人気を呼びました。
山中 裕典
河合塾/東進ハイスクール・東進衛星予備校
講師
注目のセミナー情報
【国内不動産】5月13日(月)開催
銀行からフルローンを引き出す「最新不動産投資戦略」
利回り7%超!「新築アパート投資」セミナー
~キャッシュフローを最大化させるためのポイントも徹底解説
【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意
【事業投資】5月25日(土)開催
驚異の「年利50% !?」“希少価値”と“円安”も追い風に…
勝てるBar投資「お酒の美術館」とは
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走