(※写真はイメージです/PIXTA)

国外では地政学的緊張が高まるなか、国内では個人消費の低迷が続いています。日銀は「金融引き締め」に向かっているようですが、フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏は2024年の為替相場と国内株式をどのように予想しているのでしょうか。それぞれの「予想レンジ」とその根拠をみていきます。

日経平均株価は「33,000円~38,000円程度」と予想

こちらも「外す可能性大」ですが、筆者は2024年のレンジとして「日経平均株価で33,000円~38,000円程度」と考えています。こういうと「これ以上下がらないということですか」「すでに33,000円を割りました」といわれてしまうのですが、実際のところ、そこまで細かくは考えていません。

 

日銀の引き締め観測に際して、専門家のなかには「日本経済や日本企業のファンダメンタルズは強いから、日銀の引き締めは乗り越えられる」という強気の人もいるようです。

 

筆者もそう信じていますが、「引き締めはないのに越したことはない」です。また、過去の利上げや消費増税という需要引き締めのたびに、日本経済や日本企業が苦しんできたことは事実でしょう。ですから、「強弁するよりも、日銀に再考を促し続けるほうがよい」と筆者は感じています。

 

ようやくインフレ基調となり、大幅な賃上げもあり、不動産価格も戻りつつあるわけですから、この勢いを持続させることが重要だと筆者は考えています。
※(→いずれも、続くか誰にもわかりません)。

 

[図表1]日本のインフレ率と預金金利
[図表1]日本のインフレ率と預金金利

 

[図表2]日本の民間主要企業の春季賃上げ率(前年比)
[図表2]日本の民間主要企業の春季賃上げ率(前年比)

 

[図表3]都道府県地価調査(前年比)
[図表3]都道府県地価調査(前年比)

 

目先、政策決定会合までは変動性が高まる可能性があるでしょう。ただ、その先をみると、日本の実質金利が他国に比べて大幅に低い状態は続き、さらには日本株式の割安さを踏まえると、日本株式は上を見ておいてよいと考えています。

 

[図表4]日米欧の実質政策金利(政策金利-インフレ率)
[図表4]日米欧の実質政策金利(政策金利-インフレ率)

 

[図表5]TOPIXの実際の株価水準と、予想EPSとバリュエーションに沿った想定株価水準
[図表5]TOPIXの実際の株価水準と、予想EPSとバリュエーションに沿った想定株価水準

 

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重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト

 

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