(※写真はイメージです/PIXTA)

12月8日に発表された11月の米雇用統計。就業可能人口は「月に20万人程度の増加」と堅調が続く米国ですが、一方の日本は個人消費の低迷が続いています。そんななか、日銀は「早めに引き締めに動きたい」様子。いったいなぜなのでしょうか。フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏が解説します。

就業可能人口約20万人増加…“強かった”11月の米雇用統計

12月8日に公表された11月の米雇用統計は強かったと筆者は考えています。

 

米国の就業可能人口は「月に20万人程度の増加」ですから、11月のように非農業部門雇用者数が「19.9万人」も増えれば十分に強いといえます(→家計調査では「75万人近い増加」です)。別途、平均時給は「前月比で+0.4%」で大きめの伸びです。

 

[図表1]米国の就業可能人口の伸びと就業者数・雇用者数の伸び(前月からの変化)
[図表1]米国の就業可能人口の伸びと就業者数・雇用者数の伸び(前月からの変化)

 

結局、景気後退に行くかどうかは、労働市場・失業しだいですから、企業が数十年ぶりの労働力不足をどう捉えるかで(たとえば、①来店客対比で顧客不足が続いているので、多少の景気鈍化で客数が減っても解雇を考えるほどの労働余剰からはほど遠い、②解雇してもいつ戻ってきてくれるか不安、といった状況があれば)、失業が増えないまま、まだしばらく景気拡大が続くということも考えられます。

 

「今回は違う」とはいいたくないのですが、とはいえ、ここまでの急速かつ大幅な利上げでも労働市場の堅調さが続く背景について考えなければなりません。

誰が日銀を「引き締め」に急がせているのか

日銀の植田和男総裁は7日の参議院財政金融委員会で、金融政策運営について「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになると思っている」と述べました。

 

植田総裁は(金融市場との対話についてよく熟知しているわけですから)、こうした表現を用いることで金融市場が「日銀は引き締めに向けて早期に動く」との見方を強めることは十分に理解していたはずです。

 

言い換えれば、「日銀は早めに引き締めに動きたいし、金融市場にもそのように受け止めてほしい」とメッセージなのでしょう。

 

他方で、実体経済をみれば、本年7~9月期の実質GDP成長率は「マイナス2.9%」へと下方修正されました。実質個人消費支出が下振れしたためです。合わせて、総務省の家計調査では実質個人消費支出が7ヵ月連続して前年割れとなっています。

 

日銀は、日本経済の現状を「スタグフレーション」と認識しているわけではありませんから、「景気すなわち需要の柱である個人消費の低迷が続く国家の中央銀行が金融引き締めを行う」ことはまったく信じられないことです。

 

[図表2]日本のGDPギャップ
[図表2]日本のGDPギャップ

 

ただ、日銀は引き締めに向かっていますし、大手メディアや国際通貨基金(IMF)なども、日銀の金融引き締めを後押しする記事やレポートを出し続けています。

 

筆者は常々、「(メディアやIMFのような)日銀の金融引き締めを後押しする主体の背中をさらに後押しをする主体が存在するのではないか」と疑っています。もし、そうした主体が実際に存在するのであれば、誰の利益のためにそうしているのかを知りたいところです。

 

※ もちろん、日銀自身も、たとえば他の中銀とのコミュニケーションを通じて、マイナス金利やイールドカーブ・コントロールといった非伝統的金融政策から「とにかく卒業したい」との衝動に駆られているのでしょう。

 

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