今週の注目点…米景気「減速」の兆候は?
米ドル/円が先週一時147円台まで急落したのは、このところかい離の目立っていた金利差との関係の修正が入ったと考えられます。
米10年債利回りが5%から一時4.4%前後まで比較的大きく低下したことを受けて、日米金利差米ドル優位も縮小が目立っていました(図表5参照)。
この金利差縮小がさらに続くかどうかも、米ドル買い・円売りポジションの手仕舞いが続くかを考えるうえでの、ひとつの手掛かりになりそうです。
米10年債利回りは、一時90日MA(移動平均線)を2割近く上回り、短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなっていましたが、最近にかけての低下により、それはほぼ是正された形となりました(図表6参照)。
ただ経験的には、短期的な「上がり過ぎ」の修正は、逆に90日MAを5~10%下回るまで続くのが基本でした。よって、米金利の低下はまだ続く可能性があるでしょう。
最後に、今週発表予定の主な米経済指標の予定を以下にまとめてみました。
【今週の主な米経済指標の予想】
〈11月29日〉
7~9月期米実質GDP伸び率(前期比年率)……速報値4.9%、改定値予想4.9%
〈11月30日〉
10月PCEコアデフレータ(前年比)……前回3.7%、予想3.5%
〈12月1日〉
11月ISM製造業景気指数……前回46.7、予想47.6
速報値が前期比年率で5%近い「異例の高い伸び」となった7~9月期米実質GDPは、改定値でも高い水準を維持するといった予想となっています。また11月の経済指標発表の先陣を切ることになるISM製造業景気指数は、前回よりわずかに改善するとの予想になっています。
以上の予想通りに、米景気の急減速懸念が後退するような結果となった場合は、「米金利低下=米ドル安・円高」は限られるでしょう。
しかし、予想外に米景気の減速を示すような材料が出現した場合は、なお大きく米ドル買い・円売りに傾斜したポジションの手仕舞いにより、米ドル/円の下落が再燃する可能性もあります。
以上を踏まえると、今週の米ドル/円予想レンジは147~151円中心で想定したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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