投資家は「ドルを売りたがっている」!?…長らく続いた「円安トレンド」終了の可能性【国際金融アナリストが解説】

11月21日~27日の「FX投資戦略ポイント」

投資家は「ドルを売りたがっている」!?…長らく続いた「円安トレンド」終了の可能性【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

足元の米ドル/円は、昨年つけた円安のピーク「1ドル=151.9円」に迫るなど、米ドル高・円安相場が続いているようにみえます。しかし、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は、市場は「米ドル売り」の材料に反応しやすくなっている、米ドルを売る理由を探しているといいます。長らく続いた「円安トレンド」終了の可能性について、詳しくみていきましょう。

11月21日~27日の「FX投資戦略」ポイント

〈ポイント〉

・先週の米ドル/円は2022年以降の米ドル高値更新目前のところから、金曜日には149円割れ近くまで急反落となった。

・この主因は米長期金利、10年債利回りなどの低下が続いていることか。

・米金利を主に注目しながら、当面は米ドル上値が限られ、下落拡大のリスクに要注意か。以上を踏まえると、今週の米ドル/円予想レンジは148~151円中心か。

先週の振り返り…米ドル高が一転!米ドル安へ転換の理由は?

先週の米ドル/円は、151.9円と言う2022年以降の米ドル高値に肉迫するスタートとなったものの、その後は米ドル下落に転じ、とくに金曜日にはこのところサポートされてきた150円を割り込む展開となりました(図表1参照)。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表1]米ドル/円の日足チャート(2023年9月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

米ドル高から米ドル安に転換したのはなぜか。それには、主に2つの要因がありました。1つは米金利が下がりやすくなっているということ。そしてもう1つは、大きく米ドル買いに傾斜したポジションの手仕舞い、つまり米ドル売りも入り易くなっている可能性があるということです。

 

以下に先週の主な米経済指標の発表をまとめてみました。このなかで、14日の米10月CPI(消費者物価指数)発表が予想より弱い結果となると、米金利は大きく低下し、そしてそれに連れる形で米ドルも大きく売られるところとなりました。

 

【先週の主な米経済指標の予想と結果】

 

<14日>

10月CPI総合=前回3.7%、予想3.3%、結果3.2%

 

<15日>

10月PPI総合=前回2.2%、予想1.8%、結果1.3%

10月小売売上高=前回0.7%、予想-0.4%、結果-0.1%

10月NY連銀製造業景気指数=前回-4.6、予想-2、結果9.1

 

<16日>

10月フィラデルフィア連銀景況指数=前回-9、予想-11.5、結果-5.9

10月鉱工業生産指数=前回0.3%、予想-0.3%、結果-0.6%

新規失業保険申請件数=前回21.7万件、予想21.9万件、結果23.1万件

 

まず興味深かったのは15日の動きでした。米10月PPI(生産者物価指数)は予想より弱く、瞬間的に米ドルは売られました。

 

ただ、ほぼ同じタイミングで発表された小売売上高や、「エンパイア指数」とも呼ばれるNY連銀製造業景気指数が予想より強い結果となると、米ドルは反発に転じたのでした。これは、為替や金利が、インフレ指標より景気指標に過敏に反応するようになっている可能性があります。

 

そのうえで、16日の米経済指標発表と為替、金利の反応も興味深く感じられるものでした。この日発表された通称「フィラー」、フィラデルフィア連銀景況指数は予想より強い結果となったものの、鉱工業生産指数や失業保険申請件数は予想より弱い結果となりました。こういったなかで、この日の米金利と米ドルは下落したのでした。

 

この16日の金融市場の動きは、米景気指標が強弱に分かれた場合、金利や為替は予想より弱い結果に反応しました。

 

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