12月の「FX投資戦略」ポイント
〈ポイント〉
・11月の米ドル/円は月末にかけて反落。米金利低下で米ドル高の見通しが後退するなか、大量の米ドル買いポジションの手仕舞いが広がりだしたことなどが影響した可能性。
・大量の米ドル買いポジションの処分は、12月も米ドル上値を限られたものとし、下値波乱要因となりそう。また、12月の日銀会合でYCC終了検討の可能性にも注目。
・12月の米ドル/円予想レンジは142~149円。
11月の為替…月末にかけての「米ドル反落(円高)」の背景
11月の米ドル/円は、2022年10月21日に記録したこの間の米ドル高値、151.9円寸前まで上昇しましたが、月末にかけては146円台まで反落となりました(図表1参照)。これは、米金利の低下を受けて、日米金利差米ドル優位が縮小した影響が大きかったでしょう(図表2参照)。
米金利、10年債利回りは10月に2007年以来、約16年ぶりに5%まで上昇しましたが、最近にかけては4.2%程度までといった具合に大きく低下しました(図表3参照)。この第一の原因は、米景気に減速の可能性が出てきたことでしょう。
米景気は、7~9月期の実質GDPが前期比年率で5.2%(改定値)と、異例の高い伸びでした。たださすがに、こういった「強すぎる米景気」の継続にも限度があり、減速に向かうとの見方が基本となっています。
ちなみに、アトランタ連銀の経済予測モデル『GDPナウ』が12月1日に更新した10~12月期のGDP予想は1.2%でした(図表4参照)。
米金利低下のもう1つの原因は、短期的な「上がり過ぎ」の反動でしょう。米10年債利回りの90日MA(移動平均線)かい離率は、経験的には短期的な「上がり過ぎ」懸念の強いプラス20%近くまで拡大しましたが、最近にかけて90日MAを割り込む動きとなりました(図表5参照)。
「強すぎる米景気」が減速に転じることを手掛かりに、短期的な「上がり過ぎ」の反動で米金利が低下、それを受けた日米金利差の「米ドル優位縮小」に連れて、米ドル/円も反落に転じたということでしょう。
そのなかで、もうひとつ重要な役割を演じているのが、米ドル買い・円売りに大きく傾斜した「投機筋のポジション」です。
ヘッジファンドなどの取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計の、投機筋の円ポジション(対米ドル)は、売り越しが一時13万枚以上に拡大し、2017年以来の高水準に達しました(図表6参照)。
これは、大幅な日米金利差米ドル優位を投資機会と位置付けた「米ドル買い・円売り」が急拡大していた可能性を示しています。
個人投資家は確定申告の関係などから、年末にかけてポジションの手仕舞いに動くのが基本です。そういったなかで、これまで見てきたように米金利の低下が広がることで、米ドルのさらなる上昇期待が後退したことも手伝って、米ドルが高い水準にあるうちに買いポジションを手仕舞う動きが増えてきました。
このポジション手仕舞いの動きが、米ドル/円の反落を後押しした可能性があります。
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