画像:PIXTA

世界的な一流投資家たちは、みなそれぞれ独自の信念と哲学を有している──。本連載は、金融ジャーナリストであるウィリアム・グリーン氏の著書『一流投資家が人生で一番大切にしていること』(早川書房)より一部抜粋して紹介し、一流の投資家たちの成功哲学を探ります。今回は、20世紀で最も偉大な国際的投資家のひとりであるサー・ジョン・テンプルトンの、成功者としての強烈な気質が垣間見えるエピソードについて書かれた箇所を抜粋して紹介します。

最強の投資家たちの多くが“苦労していること”

この話題について鋭い視点から語るのはクリストファー・デービスだ。1969年に父親が立ちあげた投資会社デービス・アドバイザーズで約250億米ドルの資産を運用している。彼は、巨大な成功を収めている投資家たちの特異な性格を観察するのに適した立場にいる。

 

まず、バフェットやマンガー、メイソン・ホーキンス、ビル・ミラーなどの著名な投資家たちと友人関係にある。さらに、彼の祖父(シェルビー・カロム・デービス)と父親(シェルビー・M・C・デービス)がともに、株式市場で巨万の富を築いた伝説的な投資家なのだ。

 

「優れた投資家に必要な特性は、周りの考えに不必要に振りまわされないことだ」とデービスは言う。「振りまわされないためには、周りがどう思っているかに気づかないのがいちばん簡単。気づかず、気にもしなければ、より楽に優れた投資家になれる」 。だから、「優れた投資家によくある特性として、感情的知性が低い」ことをあげ、最強の投資家たちの多くが、「周りと絆を深め」 、「家族生活で温かい愛情」を育むのに苦労していると彼は言う。

 

デービスの話によると、企業のCEOたちには投資家とは対照的な心理学的特性が見られる。CEOは、周りに共感し、彼らの考えを理解し、彼らに影響を与えられる高い感情的知性が求められる。

 

だが、逆張りをする投資家が「自分の判断を周りがどう思うかをつねに気遣っていたら、破滅する」 。さらに彼が言うには、CEOの多くは若いころにチームスポーツを経験するか、チームのキャプテンや社交クラブのリーダーを務めている。投資家たちは? デービスによれば、「だいたいにおいて」個人競技をしている。「ランニングやテニス、ゴルフ、水泳あたり。アメフトやラクロスといったものはあまり聞かない」。

 

現在80代のデービスの父親は、世代を代表する投資の巨人と称されていた。ニューヨーク・ベンチャー・ファンドでファンド・マネージャーを28年間務め、10万米ドルの投資を380万米ドルにした人物だ。では息子の目に、父親の心理学的特性はどう映っていたのだろうか。

 

「父はとにかく単独行動を好んだ。チームスポーツをやるとか、社交クラブのリーダーに就くとか、非営利の活動を仕切るとか、まったく想像できない。つねに情報を求め、人に厳しい質問を浴びせて、年次報告書を読むばかりだった。孤独な仕事ぶり、というか、電話をしているか、年次報告書や四半期報告書の山のまえにいるか、どちらかしかしないような人だった」

 

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一流投資家が人生で一番大切にしていること

一流投資家が人生で一番大切にしていること

ウィリアム・グリーン

早川書房

「金は確かに大切だ。だが、豊かな人生に不可欠ではない」 三十年以上にわたる世界的な一流投資家へのインタビューを通じて明かされる、投資の極意と幸福の哲学のすべて。 世界的な一流投資家たちは、みなそれぞれ独自の信…

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