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世界的な一流投資家たちは、みなそれぞれ独自の信念と哲学を有している──。本連載は、金融ジャーナリストであるウィリアム・グリーン氏の著書『一流投資家が人生で一番大切にしていること』(早川書房)より一部抜粋して紹介し、一流の投資家たちの成功哲学を探ります。今回は、型破りな投資家二人組に学ぶ、目先の甘い話に乗らない者が特大の報酬をつかむ理由について、抜粋して紹介します。

目先の甘い話に乗らない者が得を得る

小さな幸福をあきらめて大きな幸福が見つかるのなら、賢き者は大きなもののために小さなほうを手放すだろう。
 
──法句経(ほっくぎょう)
 
それで、私のこれらのことばを聞いておこなう者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人に似ている。雨が降り、洪水が押しよせ、風が吹きつけても、その家が倒れないのは、堅い岩を土台としていたからである。私のこれらのことばを聞いておこなわない者はみな、砂の上に家を建てた愚かな人に似ている。雨が降り、洪水が押しよせ、風が吹きつけると、その家は倒れてしまう。しかもひどい倒れ方をする。
 
──マタイによる福音書七章二四節から二九節

景観デザイナー見習いに始まり、投資の世界へ

ニック・スリープは景観デザイナーになりたかった。騒々しい暮らしからいっとき逃れて息をつける、公園や公共スペースを設計する自分を思いえがいていたから、エジンバラ大学の卒業後、地元企業で景観デザイナーの見習いに就いたのだ。
 
「私の憧れは粉々に打ちくだかれた。現実は屋根窓や駐車場をつくるだけだった」 。数ヵ月後、スリープは解雇される。「スタッフが30人から20人に減らされ、減った10人に自分も入っていた」。
 
イギリス人のスリープは、エジンバラ郊外に婚約者のセリタと買ったアパートがあったから、そのままエジンバラにいたかった。「そこで、エジンバラにどんな仕事があるか探しまわった」 。
 
まず、情報テクノロジー(IT)が候補にあがり、やがて資金運用でも実績のある街だとわかってきた。彼は投資ビジネスがどんなものかを知ろうと、アンソニー・アレック・アルノー著“Investment Trusts Explained”(投資信託とは)という、一般にはあまり知られていない本を読み、興味をそそられる。「投資は知的探求であるという解釈が気に入った」。
 
スコットランドの小さな投資会社に入り、投資アナリストの研修生として働くことになった。当時の彼に充分な資質があったとは言いがたい。大学では地質学を学び、途中で地理学に転換している。
 
株の銘柄選びのプロを目指す者のふつうの経歴とはかけ離れていたし、職歴からも金融の世界を目指してきた気配はうかがえなかった。なにせ景観デザイナー見習いに始まり、ハロッズ・デパートで働き、IT会社で臨時雇いの仕事をして、ウィンドサーフィンのスポンサー契約を結んでいたのだから。映画スターのようなルックスをもち、穏やかな物腰の彼は、馬車馬のように会社で働くイメージからは遠かった。
 
それでも、彼の強烈な個性に合った分野に運よく入りこむことができた。スリープは優秀な投資家たちと同じく、世界を人とはちがう角度で見る。
次ページ「周りの人とはちがうことに心地よさを感じていた。」

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